12月24日ーChristmas eve.
これまではクリスマスと言えば、仲の良い友達とカラオケに行ったり、
家でミニパーティーをしたり、女同士のクリスマスを満喫していた。

だけど、今年は違う。一緒にクリスマスを過ごしてくれる人がいる。
だから1ヶ月も前から約束して楽しみにしていた。

だけどー

「本当にごめんなさい」

ベッドで横になっている観月は顔を少し上げ、
申し訳なさそうに朋香の手を握って謝罪をする。

せっかくクリスマスを楽しむ計画をしていたのだが
昨夜から風邪をこじらせて寝込んでいたのだった。

「風邪だし仕方ないですよ。
 でも観月さんが風邪を引くなんてビックリ!」

「ボクだって風邪くらい引きますよ。
 …でも…この埋め合わせは必ずしますからね」

熱が下がらず、ボーっとした表情で話す観月を見て、
用意してきた氷水で冷やしたタオルを額へ乗せる。

「…気持ちいい…せっかくの予定をキャンセルした上に
 こんなことまでさせてしまってスミマセン…」

「いいの!家にいても退屈だったし!
 あ、そうだ!何か欲しいものとかあります?」

「…………いちご…」

観月は少し考え、ポツリと呟くようにそう言った。

「いちご!?りんごじゃダメなんですか?
 私こうして隣で座りながら好きな人にりんご剥くの夢だったのに~」

「横で剥かれると危なっかしくて寝ていられませんからね」

「ちょっと~それどういう意味!?
 風邪を引いて少しは大人しくなるかと思ったのに…」

「何か言いました?」

「いっいえ!じゃあちょっと買ってくるので休んでて下さいね」

そう言うと朋香は鞄から財布を取り出して、寮を出て行った。
残った観月は鏡に映る自分のあり様を見て、深い溜息をつく。

(せっかくのクリスマスなのになんでこんな…。
 彼女への申し訳なさが情けない。そう言えば前にもこんなー)


観月は薬の影響で次第にウトウトし始めてきた。
半ば眠りの中で以前にあった出来事を思い出すー


あれは確かボクの誕生日でした。
あの日も前から約束していたのにも関わらず部活がいつもより
長引いてしまい、メールでその旨を説明して延期にしようって
言ったものの、貴女はわざわざ遠い学校まで来てくれて…。

「朋香さん…!貴女どうして…」

「メール見たんだけどプレゼントの準備もしてたしさ、だから…」

「プレゼント?」

「お誕生日おめでとうございます!
 …ってまだ部活中だ!ごめんなさい!またメールしますね!」

そう言い、引き留める間もなく帰って行った貴女の背中を
今でも鮮明に覚えています。

ボクは何でいつもこうなんだろう…。
あの時、既に部活は終わり、後片付けをしていただけなのに。
追いかけていけば間に合ったのに。

いつも後悔してしまう。
後悔が先に立ってくれればどれだけ良かったか…。


「観月さん!観月さん!」

「…!?………夢か…」

「凄くうなされてましたよ!大丈夫ですか!?」

「…はい。……あの…それより…少し外に出ませんか?」

「なっ何言ってるんですか!?観月さん風邪引いてー」

「熱も下がってきましたし、昨日からずっとここにいたので
 少し外の空気を吸いに行きたい気分なんです」

「でも…って言っても観月さん行きそうだし、
 すぐ前の公園くらいならいいですよ。温かい格好して行きましょう」

「はいはい、分かっていますよ」


厚手のコートを着て、寮の向かいにある公園に行くと
2人以外、誰もいなかったので貸し切り状態だった。

「やっぱり冬の空気って気持ちいい!」

「ええ…それより本当に今日はごめんなさい」

「いいですって!そんなー」

「夢…」

「え?」

「さっき夢を見ていたんです。ボクの誕生日のこと…。
 あの時もボクの勝手な都合で…」

「だって私と違って観月さん忙しいじゃない。だから…」

「ごめんなさい…いつも勝手なこと言って。
 約束を破られて傷つかない人なんていませんよね。
 今頃になって気が付いても遅いんですが」

「そんな…どうしたんですか?」

いつもと違う観月を見て、朋香は覗き込むように顔を見る。
そんな朋香を観月は思いのまま抱き締めた。

「観月さん…///」

「寂しい思いさせてしまってごめんなさい。
 一番大切な人のことも分からないようじゃボクもまだまだですね」

「そんなことー」

「あの誕生日の件、少し前に部活仲間に話したんです。
 そしたらみんなから“観月は冷たい”って…。
 ボクは貴女の優しさに甘えてたんです…」

「そんなことないです!私、冷たいなんて思ってなかったです!
 約束だって仕方がないことだし、こうして私のことを
 考えてくれている観月さんは優しすぎですよ」

「…ありがとうございます。ボクはこんな素敵な女性と
 恋人同士になれたことが何よりの幸せです」

そう言うと、コートのポケットから
クリスマスカラーのラッピングが施されたプレゼントを渡した。

中を開くと赤い手袋が…。

「寒い中いつも試合を見に来てくれているので…」

「嬉しいー!ありがとうー!」

そう言って観月に抱きつく。
子どものようにストレートに喜ぶ朋香を見て嬉しくなる。

そして2人が見合わせて笑いあった時ー
そんな2人を包むように空から雪が舞い降りてきた。

「「あっ雪…」」

自然と導かれたかのように近づくと2人は唇を重ねる。

「…Merry Happy Christmas」



ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
クリスマス記念に書いた観月×朋香でした(*^^*)
好きキャラ同士を組み合わせた結果ハマるという次第で…。
他と同様にマイナーCPですが、朋ちゃんに振り回されつつも
朋ちゃんのことが大好きという理想の関係(妄想)です。
せっかく買ってきたいちごは観月が翌日美味しくいただきました(笑)
※いちごの行方…あとがき書くまで忘れていました(*ノωノ)
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