退屈そうに授業を聞いている神尾。
新任教師による古典の授業中だが、もうすぐお昼ということで
生徒たちの集中力も切れてしまい各々が好き勝手に
寝ていたり、外を眺めていたり、声を落として雑談をしていたり…
そんな中、神尾は睡魔と戦いつつ、
少し前の席に座って楽しそうに隣の席の男子生徒と
談笑している橘杏を眺めている。
(杏ちゃんの隣の席だったらなぁ…)
思うのは先日行った席替えのくじ引きでの運のなさ。
最後の2枚だった中で引いて、この席にいるが、
もう1枚の方を引いていたら、今頃杏ちゃんと話しているのは俺なのに…
なんて平等なくじ引きで杏の隣の席になったクラスメイトを軽く睨んだ。
(あいつ杏ちゃんのプリクラ帳なんて見てやがる!)
最近、女子の間でプリクラ帳を見せ合うのが流行ってるみたいだ。
まぁ男の俺からすれば別に興味があるわけでもないわけでもないが、
さすがに“好きな子の”って場合は別だ。
しかもそれを今、偶然隣の席に座れた自分じゃない男が見ていると思うと
神尾の嫉妬心に火がつく。
ーが、ちょうどこのタイミングでチャイムが鳴ってお昼休みなった。
お昼休みは席移動をしても不思議に思われないので
神尾は杏との共通の友人に紛れ込んで、お昼を食べたのち、
一緒になってプリクラ帳を見せてもらう。
「これ部活メンバー?神尾くんいるじゃん」
「懐かしい!都大会の後のやつだな」
そんな他愛もない話で盛り上がっている中、
1人の友人がプリクラ帳に挟んであった1枚の写真を取り出す。
「杏が男と一緒に写ってる写真みっけー」
(なに!?杏ちゃんに男がいるのか!?)
杏の友人が見せた写真には、金髪風の見知らぬ男が映っていた。
(だ、誰だ?この男…見たことねぇ)
焦る神尾だったが、
杏が質問させる間もないスピードで写真を奪い取った。
「もうっこんな写真どこから…神尾くんも今の忘れてよ?
なんでこんな写真がここに入ってたんだろ…」
その様子はいつもの杏とは違って、
必死にごまかそうとしているのがよく分かり
その杏の慌てた様子が更に神尾の悩みの種となったのだった。
(本当に付き合ってたらどうしよ…いや、でも杏ちゃんに限って…)
そして放課後ー
写真を見てから授業にも部活にも集中できず、
ずっとその写真のことばかり考えていた。
(橘さんに聞きたいけど、橘さんに言ったら大変だもんなぁ…
杏ちゃんの交友関係には厳しいし、何するか分からねぇもんなぁ)
練習中にも関わらず、神尾が全く集中していないのが分かった
ダブルスパートナーの伊武深司は得意のキックサーブで神尾を狙った。
「っ!?お、おい深司!何急に…」
「今、練習中なんだけど?さっきからボーっとして…」
神尾は謝ると、深司の元へ行き、写真のことを伝えてみたが
もちろん深司にはそんなことどうだって良かった。
だが、ボソボソと練習についての小言を言ってみたものの
一切反論しない神尾を見て、呆れたように助言をする。
「…直接聞いてこれば?俺、別に1人でも練習できるから」
これでも一応、深司なりの優しさだった。
その言葉に感謝をすると神尾は急いで杏の元へ向かった。
「杏ちゃん!よかった、まだ帰ってなかったんだ」
「うん、これから帰るところだよ。神尾くんどうしたの?」
「あ、うん…ちょっと聞きたいことがあって…」
幸い、教室には杏以外いなかったので
今がチャンスだと、神尾が口を開きかけた時ー
ドアが開いたので視線を移すと、そこには…
「た、橘さん!」
「神尾、もう練習始まってるぞ。
…それより杏、今日鍵忘れただろ?ほらっ」
「あ、ごめん!ありがと!
あ、そうだこれ…この間頼まれてた新しいグリップ」
鍵と引換えに、グリップテープを鞄の中から取り出そうとした時
テープにくっついて1枚の写真が落ちてきた。
(あ、あの写真…)
神尾が気づいたときにはすでに遅く、橘が拾ってしまった。
(よりによって橘さんが拾うなんて…)
神尾が心の中で焦っていたのだが、しかし橘の反応は意外で…。
「何だ杏、こんなもの持ち歩いて…」
「違うの。間違ってプリクラ帳に挟まってたのよ」
「…えっ!?」
神尾が予想してた反応と違ったので、
疑問符を並べて杏と橘を交互に見つめた。
「神尾くん…このことは絶対内緒にしてよ!」
「杏、別にいいじゃないか。そんな昔の写真…」
「嫌よ。だって今のお兄ちゃんと全然違うし…
これでまた変なウワサでも立てられたら…」
「!?ってこれ…まさか…」
「そうよ。九州にいたころのお兄ちゃんよ!」
「…そっそうだったのか…それなら早く…」
神尾は安心からか深く溜息をついた。
そして、先ほどまでの表情とは打って変わって笑顔になった。
「じゃあ俺、そろそろ部活戻ります!」
「えっ神尾くん…話って!?」
「あっもう忘れちゃったから!」
「?」
真実を知った神尾は、
その日の部活中いつもに増してテンションが高かったのである。
「リズムに乗るぜっ♪リズムにHigh♪」
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
珍しく王道の神杏です(*^^*)なのにネタっぽくてすいません!
ラブラブな神杏も好きですが、神尾の片思いが好きです☆
ちなみに九州2強と言われた橘さんの前の顔(整形ではありませんが笑)を
神尾は知らないはずないのですが、知らないってことでお願いします。
ついでに、杏ちゃんと神尾を同じクラスにしちゃいました。
捏造要素多めですが、ジェラシーからのテンションUPなリズムくんは
とっても単純で書いていて楽しかったです( *´艸`)
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