家に帰ってくるまでの間、どうやって帰ってきたのか分からない。
チョウジが途中まで送ってくれて、
シカマルが任務報告に行くって言ってたのは微かに覚えているけど…。
家にいても思い出すのはアスマ先生の顔ばかり。
先生を亡くした悲しみが後からどっと溢れ出て涙が止まらない。
身近な人を亡くした喪失感に、いてもたってもいられなくなり、
先生とよく修行をした演習所へ向かった。
“アスマ先生”
そう呼べば振り返ってくれるんじゃないか。
いつもみたいに「今のナシ!」って笑いながらやってくるんじゃないか。
しかし演習所はいつもと変わらず…
変わったのはアスマ先生がいないことだけだった。
「…っう……っ…」
泣かないとしていても、嗚咽が止まらない。
自然と涙が溢れ出てくる。
「…………アス…マせん…せ…っ…」
中忍になるまで付けていたリングのピアスを力いっぱい握り締める。
その痛みが更に悲しみと切なさを増す。
どれくらい泣いただろう。
気づけばもう辺りは真っ暗で、涙も枯れてしまっていた。
夜になり風が出てきたせいか寒気がする。
任務の後、そのままここへ来たので寒さが肌へ直接伝わる。
そこへー
「いの…」
突然声がかかり、振り返るとシカマルが立っていた。
いのに近づくと持っていた上着を肩に掛ける。
「…ありがと」
「…んな所にいつまでもいると風邪引くぞ」
「……うん」
「ほら」
そう言い手を差し出すシカマル。
それに応じようと手を伸ばすが、手が震えて上手く掴めない。
「……て…手が…」
手が震える。
思いっきり泣いたことにより、もう大丈夫だと思ったのに…。
身近な人の死を受け入れようとここへ来たものの、
思い出が更に強くなり悲しみが恐怖に変わっていった。
何もできなかった。
助けられなかった。
役に立てなかった。
マイナスな面ばかりを思い出し、心が押し潰されそう…。
「わ…私…やっぱりダメじゃない…」
「いの…?」
「折角、医療忍術を習って修行してきたのに…
私に何かできた?…何もできなかったじゃない…」
「…お前自分のせいだと思ってんのか?」
「…だって…私はー」
手の震えを止めようと両手で握り締める。
そんないのを見て、シカマルはその上から包み込むように
さらに強く両手を握り締めた。
「お前だけじゃない。オレだって、チョウジだってお前と同じ気持ちだ。
だけどなぁ、今すべきは悔しがることでも悲しむことでもない。
報いを晴らすことだ。アスマにオレたちは大丈夫だって見せねぇとな」
「シカマル…」
「お前は1人じゃない。オレたちも支える。
だから一緒にアスマの報いを晴らそうぜ」
「……っそうね!」
「だけど…無茶はすんな。お前まで死なれたらオレは……」
「っそれは私も同じよ!シカマルも無茶はしないで」
「ああ。オレは約束したんだ。死ぬまでお前を守るってな」
「シカマル…///」
震えていたいのを優しく抱きしめる。
そしてそのまま引き寄せられるように口付けを交わす。
シカマルに抱きしめられ、
いのも次第に落ち着きを取り戻し、手の震えも止まった。
「…ありがと」
「アスマに言われただろ?恋も忍術もサクラに負けんなって」
「…もちろん//」
「よし、じゃあそろそろ帰るぞ。まだやることが沢山あるからな。
いのも今はゆっくり休め。そして今度は一緒にー」
「先生の報いを晴らすのね!」
「ああ」
シカマルと別れると、
いのは家に戻る前に慰霊碑に立ち寄った。
「先生…見てて下さい」
そう言い手を合わせ、
慰霊碑に中忍になるまでしていたリングのピアスを置く。
“必ずここへ報告しに帰ってきます”
その意味を込めて…。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
甘さ控えめのシカいの。普段さほど原作を意識して書かないのに、
今回は原作に触れる形でアスマの死後を書いてみました。
書いててただただ切なかった(涙)
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