毎月1回、夜8時を過ぎた頃から決まって奈良家は騒がしくなる。
それは定期的に開催される元祖、猪鹿蝶トリオでの飲み会だった。
今夜も10時を過ぎても盛り上がりは止まらず、懐かしい話に花が咲く。
息子に迎えに来てもらい先に帰ったチョウジの父、チョウザと入れ替えに
今度はいのが父を迎えにやって来た。
「ちょっとー父さん!母さんが早く帰ってくるように言ってるわよー」
「おう、いのか。ちょっと昔話で盛り上がってな」
「いっつもそればっかり…」
「もう少しだけ!頼む~」
酔っ払いの父親たちを目にしてため息をつく。
こんなことは当たり前でさすがに慣れてきた。
“少しだけ”や“あとちょっと”から結局11時を過ぎても終わらず
最後は無理やり連れて帰るというお決まりのパターン。
まだお酒を注ぎ合う2人を見て、
仕方がないと奥にあるシカマルの部屋に向かう。
「シカマルーいるー?」
「あぁ、いのか。入れよ」
「あ、うん。ごめんねーいつもいつも…」
「お互い様だろ?つーか明日任務早いのに、いいのかよ?」
「仕方ないわよ。あの調子じゃーねー」
「退屈だろ?1局打つか?」
「私が将棋弱いの知ってるくせに。…まぁでも暇だしね。
あ!ハンデはつけなさいよー?」
「わーったよ」
そして2人の将棋が始まるー。
いつもならハンデをもらっているとはいえ、
いのが相手なのでシカマルの勝利ですぐに決着がつく。
しかしこの日はー
「いのちゃんも随分女らしくなってなぁ」
「恋人とかいるのか?」
「いやぁそれが、そういった話は何にも聞かされないんだよ」
「ははは…やっぱり年頃の女の子を持つ父親は大変だなぁ」
「まぁ親としてはお前の息子と上手くいけば良いと思ってるんだがな」
「そりゃこっちも同じさ。あいつはオレと似たタイプだからなぁ、
いのちゃんみたいな子がピッタリなんだが…」
いくら扉を閉めていても、襖一つ挟んだ部屋だ。
親同士の笑い声や話す内容が筒抜けに聞こえる。
将棋を打つことに集中してみせても、内容が内容だけに
シカマルでさえ集中力が欠けて簡単なミスをしてしまった。
(あ……)
しかし、いのはいので、その簡単なミスに気づかないほど
恥ずかしさで参っている。
「///…っもう!隣の部屋まで丸聞こえだってーのー///」
「//…悪ぃな。オレの親父、飲むとすぐあんな話に持っていくんだ」
「うちの父さんもそうよー。私とシカマルが付き合うだなんて…
そんなの…ねぇ!?あ、有り得ないわよー」
「だ、だな。ったく親ってのはめんどくせー」
「…何かもう訳わかんなくなったから将棋はいいわ」
恥ずかしさを隠すために手早く将棋を片付けるいの。
その時だった。将棋の駒が1つ将棋盤から転がり落ちる。
「あっ…」
「…っと」
その駒を拾おうとした2人の手が重なり合う。
「……っごめん」
「…お、オレの方こそ…」
…1秒…
……2秒……
…………3秒………
沈黙と視線のぶつかり。
2人は自然と導かれるように近づきキスをした。
「……っ…悪ぃ///」
「……ううん///…私ね、さっきはあんなこと言ったけどさー…その…」
「……お前とオレ、チョウジも含めて長い付き合いだ。
言わなくても分かる。だけどやっぱり男としちゃあここはー」
今さら“好き”と言う方が照れる。
(…だけど女はその言葉が欲しいもんだ。って親父がよく言ってたっけ)
「…好きだぜ、いの」
「………うん私も」
そして親たちの予告通りなのか、念願通りなのか、
2人は付き合うことになった。
この出来事から1週間が経った頃、山中家ではー
「なぁ…その…いのは誰か、付き合っている人とか…いるのか?」
「父さん…!?な、何よ、急に…///」
「いや、親としてだな、色々と気になるワケで……」
「……ふふっいるわよー。すっごく頼れるカッコイイやつがねー」
「なに!?なら一度お父さんに会わせてくれないか?
娘に合った人かきちんと見極めたいんだよ!」
「……う~ん…その必要ないわよー」
「ん?どういうことだ?」
「だって…………シカマルだもん♪」
「……なにー!?すぐシカクに連絡せねば!!!」
その夜、再び奈良家が騒がしくなったのは言うまでもない。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
幼馴染ならではの恋愛模様。こういうのを妄想していたので
当初はシカテマも好きだけど、どちらかと言うとシカいの派でした(^^;
今は原作に沿ってサイ×いの推しにしているので、
今後はきっと書かないレアなカップリングになりそうです。
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