木ノ葉の火影岩に夕陽が差し掛かった頃ー

シカマル・いの・チョウジの第十班は任務終了後に
新しいフォーメーションを完成させるために集まり、特訓をしていた。

「忍法心転身の術!」

「っと……」

シカマルはいつものように慣れた手つきで
精神移動をした後の、いのの体を受け止め、そっと横に寝かせた。

(まただ……)

いのの体を受け止めたシカマルの顔はいつもとは違い険しい表情だった。

深いため息をつくと、そのままシカマルは練習の手を止めた。
これから術を発動する前だったチョウジはもちろん、
いのもシカマルの異変に気付いて元の自分の体へと戻る。

「シカマル?どうしたの?」

「悪ぃなチョウジ。今日はここまでにしよーぜ」

チョウジはいつもと違う空気を察し、頷くとその場から離れていった。
そこへ慌てていのが駆け寄りシカマルを問い詰める。

「ちょっとシカマル!折角練習してたのに何で急にー」

「おい、いの…」

「何?チョウジも帰っちゃうしさー
 ……ってどうしたのシカマル?そんな怖い顔して?」

まだまだ文句が言い足りない様子で怒っていたが、
シカマルの表情がいつもと違うことに気づく。
異変を感じてどういうことか尋ねるいのに、
シカマルは感じた怒りをぶつけた。

「お前、もうダイエットなんて辞めろ!」

「っ…な、何よいきなり……!」

「いいから辞めろ!」

「……っ何でアンタにそんなこと言われなきゃいけないのよ!
 好きでやってるんだからいいじゃな……っ……」

シカマルに反論するいのだったが、声を荒げたことでふらつき
額に手を当てると、その場に崩れるように座り込んだ。
シカマルは素早く駆けつけ、いつものように受け止める。

「…ほら見てみろ。オレはなぁお前と長年チーム組んでやってきたんだ。
 心転身でお前の体を受け止めただけでわかる。
 日に日に減っていくお前の体重がな!それに顔色も悪いし、
 術のキレもねぇ。声を上げただけでコレだ。
 そんなんで修行や任務やってても何の意味もないだろ…」

返す言葉がなかった。本当にその通りだったからだ。
最近はスタミナ不足で、任務でも足手まといになることが多く、
ちょっとしたことでも体力を消耗して使いものにならなかった。

「何やってんだよ…」

「…………」

「…お前のことだからどーせ」

「アンタは男だからそう言えるのよ…」

「またそれかよ。オレたちは忍なんだぞ」

「…っそれでも…それでも私は!忍である前に女なのよ!
 ダイエットするのは少しでもキレイに、可愛く、見られたいからよ!
 この気持ちはアンタには一生分からないだろうけどね!」

いのの泣き叫びのような言葉が静かな森に響く。

その叫びでさえ息が上がり、肩で呼吸をしているいのを見て、
シカマルは再び深いため息をつくと、勢いよく手を上げるー


パチンッー


「いい加減に目ェ覚ませ!」

「…!!」

シカマルに平手打ちをされ、いのは我に返る。
普段シカマルが任務以外で女に手を上げることがないことを
誰よりも知っているからこそ驚き、目に涙が滲んだ。

「……な、何するのよ……」

「オレはなぁ、今みたいに弱々しくない普通のいのがいいんだよ!」

「っ何よそれ……」

「オレは……お前にダイエットなんて望んでない」

「私はアンタに望まれないからって止めるつもりはー」

「まだ分からねェのか?…オレは……そのままのお前が好きだ!」


突然の告白ー

驚き目を見開く。これまで口喧嘩で負けたことがなかったが、
さすがに突然のこの状況には言葉を詰まらせる。


(シカマルが私を?そんなこと…だってこれまで何も…)


「な、何よそれ…」


そんな時、以前チョウジから聞いた言葉が頭に浮かんだ。


『男は女が思ってる程やせてる女が好きじゃない。
 どっちかってーとポッチャリ系が好きってのが一番多いんだ』

『いのもダイエットするより、もう少し太った方が今の2倍はモテるぜ』

チョウジがシカマルがこんなこと言ってたよって教えてくれたっけ。


「…でも私は」

「女を見かけで判断するようなヤツはロクな男じゃねェぞ」

「………」

「ま、これだけ言ってもまだダイエットするって言うなら勝手にしろ。
 でもな、誰にも迷惑掛けてないみたいなこと言っても無駄だかんな。
 チョウジも、オレもいつも心配してたんだぞ」


そう言って去って行ったシカマルにいのは返す言葉もなく
その場に座り込んだまま、暫く言われたこと考える。


“オレは…そのままのお前が好きだ”


何よ…急にあんなこと…。
そんなこと言われたら…好きになっちゃうじゃない。

いのもシカマルを意識していなかったとは言い切れない。
サクラと張り合いサスケのことを追っていたが、
気持ちの大きさは正直サクラの方が上だった。

それに気づいていても悔しいという思いはなく、
ダイエットをしているのもサスケのためではなく、
痩せている人がモテる、ということが一般論だと思い込んでいたから。

一方で、シカマルとは親同士が仲良かったってのもあるけど、
アカデミーに入る前からずっと一緒に過ごしてきた。
だからダメなところも、カッコイイところも何でも見てきたし、
一緒にいてこんなに自然体でいることができるのは
シカマルくらいだって思っていた。

これが“好き”ってことなのかな?

正直3人の関係を壊したくなかったってのもあると思う。
…なーんて言ったら、ただのこじつけだって言われるよね…。


私も素直にならないと…。




翌日、いのはシカマルとチョウジを呼び出した。
来てくれたことに感謝をすると、いのは持っていた袋から団子を見せる。

不思議そうに目を合わすチョウジとシカマル。
そんな2人に、いのは笑顔で団子を渡す。

「修行のお供として、甘栗甘の団子を持ってきたわよー」

「お、お前……」

「シカマル、チョウジごめんね。私、もう無理なダイエットはやめたの。
 昨日シカマルに言われて気が付いた。
 ……ううん、もしかしたら誰かに言って欲しかったのかも知れない。
 このままの私を受け入れてくれる人を探していたんだと思う、きっと」

「いの……」

2人の雰囲気を察したチョウジは
団子を受け取ると少し離れたところで団子を頬張る。


「……私さ…アンタに言われて気づいたことがもう1つあるの」

「もう1つ?」

「い、意外とアンタのこと好きみたいなのよねー//」

そう言って目線を落とすいの。プライドの高い、いのらしい告白だ。
シカマルはいのに近づくと黙ってそのまま抱き締める。

「もう無茶すんじゃねーぞ。
 オレはお前が有り得ないくらい太っても受け入れてやっからよ」

「…シカマル……」

「ほら、一緒に団子食おうぜ」

「うん、そうね♪」

こうして2人は付き合うことに。良い雰囲気になった2人を見ながら
チョウジは満足気に団子を食べるのでした。



ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
いのちゃんは個人的にとっても魅力的な女の子なんですが、
岸本先生の趣味ではないのか(違)なぜか報われない若干かわいそうな
ポジションなんですよねー。まぁ最後はサイと幸せになりましたけど。
いのは決してぽっちゃり系でもないんですが、
あんなに見た目を気にしているのは、くノ一で色香だけでも勝りたい!
という強い気持ちからなのか、第十班だとチョウジがいるから
食べる時間が多くて気にしすぎているからかなーなんて思ったり(笑)
そんないのちゃんに厳しくもあり、やさしいシカマル。
彼は本当に発言がかっこいい!そんな思いで書き上げたシカいのでした。
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