みたらしアンコは上忍待機所に来たものの、落ち着かない様子で
その場を行ったり来たり…時折窓の外を眺めて恋人の帰還を待っていた。

「ちょっとアンコ落ち着きなさい。もうすぐ戻ってくるわよ」

「…そ、そうね。私ったらなんかソワソワしちゃって」

「あなたとヤマトってまるでニコイチね。いつも一緒にいるんだから」

「いつも一緒って…紅とアスマだってそんな感じでしょ」

「私と彼は離れていてもそんなにソワソワしないわよ。
 危険任務ならまたしも今日は下忍たちの相手でしょ」

紅は呆れた様子でそう言い、任務があるようでそのまま去って行った。
残されたアンコは再び窓の外を眺める。


彼と出会って、彼と付き合いはじめて世界が広がった。
辛い思い出も消えるわけではないが、1人で背負っていた時とは全く違う。

本当に幸せな毎日を送っていた。

ただ最近…自分は彼に依存し過ぎなんじゃないか、と思う。

“ニコイチ”と言われるくらい任務以外ではほとんど彼と一緒にいる。

彼がいないと何もできない。彼がいないと不安になる。
明るく振舞っていても、夜になると叫び出したい衝動に駆られる。

もちろん、こんなことを思っているなんてアイツは知らない。
自分の気持ち全てをぶつけたいけれど、このままだといつかきっと
彼の気持ちを押し潰してしまい別れられる。

幸せだと思う反面、最近アンコはこういった不安に駆られていたのだ。

これまでもずっと気持ちのコントロールは自分で対処してきたアンコ。
そんな思いから、徐々に恋人との距離を少しずつ広げ始めたのだった。




恋人、テンゾウと距離を置き始めて3週間。
早くも禁断症状が出てきた。
何をしていても不安で、何をしていても彼のことばかりが気になる。

そしてそんな私に罰が下った。
不安定な気持ちで任務に取り組んでしまったばかりに受けた傷。

医療班によると全治1ヶ月。
忍としてもダメってことか、と自虐的になり失笑する。

距離を置いていたくせに距離を縮めるきっかけを作ってしまった。
きっと私が入院していることを知ると、アイツのことだから
真っ先に飛んできてくれるんだろうな…。

そう思っていたアンコだったが、
1番に現れた見舞い客を見て言葉を失う。


ーテンゾウじゃない…。


見舞いにきたのはテンゾウではなく、同僚はたけカカシだった。
ここにきて、自分から距離を置いていたくせに
向こうも距離を置いたことで気持ちが離れてしまったんだと実感した。

入院したから来てくれる、そう思っていた自分が疎ましい。

やっぱり捨てられたんだな…。
そう感じると自然と涙が頬を伝う。

「アンコ…泣いてるの?」

「…っ…何でもないわ。ちょっと怪我したところが痛んでね」

そう言って誤魔化すアンコ。
カカシはベッドに腰掛けると、そんなアンコを見て助言する。

「…ったく、いい加減許してあげたら?」

「え…?」

言っている意味が分からず涙を拭うとカカシを見る。
すると、カカシの口から思ってもいなかった事実が告げられた。

「テンゾウのやつ落ち込んでたよ、お前が冷たいって。
 何があったか知らないけど、そろそろ許してやってもいいんじゃない」

「…!!」

そんなことを考えてるとは思わなかった。
てっきりテンゾウは距離を置いて楽になったかな、なんて思っていた。

「私…謝らなきゃ」

「あいつは怒ってないよ。心配してたんだ」

「だけど私、テンゾウに依存しすぎてて…
 きっといつか彼を押し殺すんじゃないかって不安で…それで」

「自分から距離でも置いてた?」

その問いにコクリと頷く。
事態を読み取ったカカシは深く溜息をつくと、
やれやれと言った感じで、テンゾウの気持ちの代弁をする。

「あいつはな、アンコがもう自分のことが嫌いなんだって思ってたよ」

「そんな…」

「お前だけじゃない、あいつだって依存する。
 だけど依存し合う同士なら上手くいくでしょーよ。…わかった?」

「……うん」

「じゃあテンゾウ呼んで来るからな」

そう言うとカカシは部屋から出て行った。
カカシが去った後、改めてカカシに言われたことを考えてみる。


ホントにバカだった。
自分ばかりが不幸なふりして、結局テンゾウを傷つけてしまった。

会ったらまず何て謝ろう。
何て言って詫びたらいいんだろう。


「怪我…大丈夫?」

「テンゾウ!」

3週間ぶりに対面したテンゾウを見て心臓が高鳴る。
用意していた言葉も全て忘れてしまった。

だけど言わなきゃいけないことはたくさんある。
アンコは頭を振り絞って考えてみるが、
思いつくのは全て単純な言葉ばかり。

「…っごめんなさい!言いたいことは山ほどある。
 だけどこれだけは言わせて。テンゾウが嫌いになったんじゃない!
 私はあなたがいないとやっていけない。愛してるや大好き…なんて
 単純な言葉にできないくらいテンゾウのことを想ってるから」

「アンコ…」

「頭で考えるタイプじゃないから上手く伝えられないけど…
 もう距離なんて置きたくない。わがままだけど…ずっと一緒にいて?」

そう言って懇願するアンコ。
テンゾウはイエスの返事の代わりにアンコを力いっぱい抱きしめた。

「…もう絶対離さないよ」

「ありがとう…//」




ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
シリアス要素ありの暗めのお話でした。
アニメオリジナルの海の国編を見ていたら
アンコさんにとっての過去は本当に辛い記憶なんだなぁって思わされ、
きっと子どもの頃にオロチーに洗脳的に操られた挙句、捨てられて、
そんな過去からなんとなく人に対して依存性が高いんじゃないかなぁと。
そして、テンゾウもまた同じく幼い頃の記憶から依存性が高い気がして
2人は依存しあってこそ幸せに生きていけるんじゃないかなぁと
そんな勝手なイメージで書いてみたネタです。
なんだか暗いし、後味の悪い文章でごめんなさい。
2人の幸せな話をもっと書きたいなぁ…( ;∀;)
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