アンコ…逃がさないわよ…。


私の大事な大事なアンコ……。









「……っ!!はぁっ…はぁっ……………ッ…」


目を覚まし、夢だとわかると布団に顔を埋める。

またこの夢か…。
呪印が疼くと必ずと言っていいほど、この夢を見る。

木ノ葉に拾われてから随分経ったというのに、
まだこんな悪夢に怯えて目が覚めるなんて…。


きっと…

第二試験でアイツと再会してしまったからだろう…。





「やぁ!おはよう」

「……カカシ!!……い、いつの間に…」


コイツー“はたけカカシ”は私が木ノ葉に救われた後、
最初に親しくなれた奴だ。それから随分経ったというのに
今でも相変わらず気にかけてくれ、頻繁にこうして部屋にやってくる。


「……まったく…いつもながら散らかってるねぇ…しかも無用心」

「うるさいわねー。しかも無用心って…鍵くらい掛けてー」

「ないよ。今、玄関から入って来たし」

「勝手に入って来る方がおかしいわよ!何考えて……っあァ……!」

痛みに反応して肩を押さえる。また呪印が疼きだしたのだった。
アンコはカカシにバレないように平然を装い話を続ける。

「どうした!?」

「…っ…何でもないわ」


(っ…もう大蛇丸はいないのに、何で呪印が疼くんだ…)


「何でもないような顔じゃないでしょーよ?」

「…っ…も、もう私のことなんかほっといてくれない?
 カカシだって暇じゃないんだし…任務にでも行って来たら?」

「残念ながら、任務は明日から」

「……とにかく、早く自分の家に戻ってよ…。
 アンタが暇でも私は任務に、試験の準備に忙しいんだから」

「……あ…そう?それじゃ」

何か用があるのか時計を見て、カカシは部屋から出て行った。

しかし…カカシが帰った途端、急に静かになり少し不安になる。
ここのところ夜中になるとあの嫌な夢に脅かされて眠れない。
この呪印がある限り、私は苦しみから逃れられないんだ、きっと…。


(…くっ……また呪印が……くそっ……)


呪印の力に苦しむが、そうはいっても任務は任務。
受けたからにはやるしかない。

準備をする内に自然と呪印の痛みは治まってきた。
アンコはとりあえず痛みが引いたことに安心し任務先へと向かう。





その日は、近場の任務だったので終わったその足で家へと向かう。
もう外は真っ暗だ。朝疼いていた呪印もすっかり治まり、
アンコ自身も痛みのことを少し忘れかけていた。

部屋に戻り、そのまま疲れた体をベッドへ移す。
明日は任務入っていない。アンコはそのまま眠りについてしまった。







そして次に気が付いたのは夢の中。
大蛇丸の研究施設に閉じ込められている自分がいる。

呪印を付けられ苦しむ自分。助けてと必死に叫ぶが誰にも届かない声ー。
痛みと怖さが入り混じった感覚に、いつものように目が覚める。


「……はぁっ…はぁっ……っ…」


汗びっしょりになった顔が鏡に映され身震いがする。
いくら忘れようとしても夢の中で蘇る記憶ー。

誰もいない孤独な部屋…再び呪印が疼くー。
体中の震えが止まらない…。


(怖い………)


大蛇丸の顔が離れない。
この呪印がある限り、私は一生苦しみ続けるのだ。

この呪印があるから………この呪印があるから………
この呪印さえなくなれば………!!

苦しみと悲しみの間で彷徨い、手には無意識にクナイが握られている。


そうだ。このまま胸を一突きすれば私は呪印から解放されるんだ。
何もかもから……大蛇丸からも………開放されるんだ…。


ポタッ……ポタッ……


アンコの瞳から大粒の涙が溢れる。


しかし頭とは反対に手が動かない。
クナイを持った手が胸に当てているのにそれ以上動かない。

あの悪夢から解き放たれるのに何で……何で……手が動かない。


(私にはもう迷うものなんて何もないはず……だから…もう…っ…)


力ずくてクナイを持った手を上に振り、勢いよく胸に突き刺すー


その一瞬に見えた顔ー


誰?


ーカカシ?



…これはきっと幻なんだな。それとも夢の中?
カカシ…今までありがとう。こんな私に優しくしてくれて……。
……私…アンタのこと……


ー!!


腕を掴まれハッとする。
ぼやけた視界の中に入って来たのは夢でも幻でもない。
カカシ本人だった。

「…させないよ」

カカシはその隙にアンコからクナイを抜き取った。

「……カカシ………何で……」

「…呼んでる声がしたんだよねェ。………大丈夫か?」

カカシのストレートな言葉がアンコの胸に染みる。
大粒の涙が絶え間なく溢れ、アンコはカカシの胸で泣き崩れた。

「……一人で何でも背負い込むなって…」

「カカシ……ごめん。いつも頼ってしまって…」

「…あのねぇ頼られて嫌な男はいないよ」

「………」


カカシはアンコが落ち着くまで、ずっと抱き締めてくれた。
震える身体も次第に落ち着き、呼吸が元に戻ったことを確認すると
アンコの頭を優しく撫でる。

「……もう大丈夫だから……」

「…ったく言ってるそばから…今日は一緒にいるよ。朝はもうすぐだし」

「ありがとう……でも……」

「何?不満なの?」

「違っ…ただ…何か私に振り回されて嫌じゃないのかなって…
 カカシって何考えてるか分からないし…」

「…あのねぇ…。オレは皆にこんな風にしてるワケじゃないのよ。
 アンコだから心配なんだって」

「……え……」

「ここまで言ったら普通分かるでしょ?」

そう言ってアンコを強く強く抱きしめた。
アンコは目を見開き、力ずくでも離れようとするも、
カカシの力の前では無力だった。

「なっ//何でっ…」

「好きな気持ちに理由なんかいらないでしょー」

いつもの眠そうな表情でなく、
真剣な眼差しでカカシがそう言った。

最初は戸惑っていたアンコだが、その言葉を聞くと、
徐々にカカシに身を委ねていく。


「……不安だったんだろ?ゴメンな、もっと早く来れなくて」

「……ありがとう」




そして翌日ー


「おはよう」

昨日の約束通り朝になってもカカシはいた。
朝ごはんを食べようと机に向かうと、
カカシは持っていた箱をアンコに渡した。

「何これ?」

「団子。ま、食べてみてよ。元気出ると思うし」

「……美味しい……この味ってもしかして…」

「そ。アンコがここの団子好きって紅が言ってたから」

「……うん、好き……」

「オレのこと?」

「違っ!!団子が!!」

「そっかー……」

「…か、カカシのことも…その…まぁ、好き……」

「それが聞けて安心安心。んじゃ任務行って来ますかー。
 …あ、行ってらっしゃいのキスは?」

「…っ!!そんなことっ」

「じゃあ、おかえりの際はヨロシク~」

そう言うとアンコに近づき頬にそっとキスをした。



ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ヤマトが出てくる随分前に書いていたカカアン。
これもマイナーCPではありますが、恒例の呪印ネタで失礼しました(笑)
ちなみに海の国編と若干似ていますが、海の国編見てビックリしました。
もちろんパロディでもパクリでもなく、同じようなネタを使っていた私。
苦しむアンコさんが好きなわけではありませんが、アンコさんって
恋愛する上でも呪印はつきものだと思うので、それを乗り越えられる
相手とだといいなぁーという妄想。
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