幼い頃の記憶というものは大人になっても覚えていることが多い。
それも特に悲しみであったり、苦しみであったり、苦い記憶の方が残る。
私もそうだった。
幼き日の苦しく悲しい記憶ー
「見てあの子でしょ、里を裏切った大蛇丸と一緒にいたっていう」
「あなたの担当上忍が大蛇丸ってホント?」
「大蛇丸に何かされてたんじゃないの?」
「実は好きで一緒にいたって話よ」
「あいつは敵だ!」
アンコは唇を噛み締めた。
叫びだしたい気持ちを押し殺し、ぐっと唾を飲み込む。
あれから随分月日も経過したものの、
何気ない日々の中でも、ふと思い出す幼少期。
今の自分は幸せだ、そう言いたいのに忘れられない記憶。
子どもの頃の記憶で良い思い出がない。
いつだってそうだった。
私を見る目は哀れみの目か汚れた目。
第二試験でナルトに興味を持ったのも、
人に嫌な目で見られてきた苦しみを少しは理解できたから。
可哀想、最低、迷惑…どの眼差しも要らなかった。
「アンコ、まだ帰らないの?」
「…あ、テンゾウ!もう帰るわ」
「じゃあ一緒に帰るか」
そんな中でも彼、テンゾウだけは特別な存在だった。
私と同じで親もいなけりゃ、担当上忍もいない。
彼は大蛇丸の研究施設で初代火影様の遺伝子を組み込まれ
大蛇丸の実験に使われた1人だった。
次々と死んでいく実験体の中でただ1人の生き残り。
大蛇丸の呪印に苦しんでいた私に
当時、三代目が教えてくれて気持ちが軽くなった。
自分だけじゃない、初めてそう思えた。
どんな人か知らなかったけど、
私の苦しみを少しは理解してくれるかな、って。
だけど想像していた以上に彼は理解をしてくれた。
暗部だったにも関わらず名乗ってくれた。
ー彼と出逢った日のことは今でも鮮明に覚えている。
第二試験から戻ってきた後は死にたい気持ちでいっぱいだった。
大蛇丸を見つけ、この手であいつを殺そうと、
禁術まで発動しようとしたのに…。
取り逃してしまった悔しさと、うちはサスケに
自分と同じ目に遭わせてしまった悔しさで堕ちる所まで堕ちていた。
そんな私に三代目は優しい言葉をかけてくれたけど、
私の後悔はどうしようもなく。
誰もいない静かな場所へ行きたい。
そう思ったと同時に足が自然と死の森にある塔へと向かっていた。
誰もいないと思ってきたのに、扉を開けるとそこには1人の暗部が。
「何!?暗部が一体何の用?」
驚き、そう問うアンコに暗部の面を外し素顔を見せる。
これがテンゾウとの出会いだった。
「三代目に聞いたでしょ。大蛇丸に実験体にされたっていう」
「まさか…」
「そう、ボクがその生き残り。今の名はテンゾウ」
「…!!」
「あなたのことは知っていますよ。
無茶なことばかりする空気の読めない試験官だったっけな。
イビキさんに聞いた話だけど」
「イビキめ//」
「それより…大蛇丸の部下だったんでしょ」
…!!
こいつもみんなと同じなのか、とムッとして下を向く。
だが、それはアンコの勘違いでー
「もう大丈夫。今まで一人で辛かったでしょ。
だけどこれからはボクが味方だ」
その言葉にアンコは目を見開く。
今まで誰だってこんな簡単な言葉を言ってくれなかった。
いつも私を見る目は「敵」としてだった。
同じ木ノ葉の里にいても「敵」として見られる苦しい思い。
それがこんなにもあっさり解かれるなんて。
「私…」
「何も言わなくていいよ」
そしてテンゾウがアンコを抱き寄せる。
初めて出会ったはずなのに、2人の距離は分毎に縮まっていく。
抱き締め合い、見つめ合う。自然と2人の唇が1つになる。
吸い付くように何度も何度もキスをした。
これが彼との出会い。
果てなき闇の彼方に見つけた一筋の光だった。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
テンアンが好きになった時から勝手に妄想をしていた出会いです。
ファンブックも発売され、アンコさんとテンゾウくんの歳の差が
2歳ということで、特に口調も変える予定はなく一安心(*´▽`*)
こんな出会いだったらいいなぁという完全な妄想です。
そういえば、BORUTOでアンコさんが激太りしているのが衝撃でした。
テンゾウと別れてなのか、幸せ太りなのか、また妄想が膨らみます(笑)
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