「助かったわ。本当にありがとう」
「気にすんなって。ところでこの資料何だ?こんなたくさん…」
「綱手様が溜め込んだ報告書の山よ。
やっと先月分が片付いたから資料室に入れに…ね」
「ああ、それでか」
「で、ついでに過去の資料や必要のないものも入れようと思って。
これで最後だから、この部屋に入れたら終わりよ」
綱手に資料を運ぶように命じられた2人。
実際には「机の上が荒れていて職務をする気になれない」
という綱手に代わり、シズネが過去の任務報告書や資料やら
必要のないものを資料室へと運び出していたところ
任務を終えたゲンマが通りがかり手伝ってくれている。
「私1人だったらあと何往復していたか…」
「んな細い腕でよくあんな大量の資料運んでたよな。腕つってないか?」
「…あ、うん、大丈夫。任務終わりで疲れてると思うのにありがとう。
半分以上持ってもらって…助かったわ」
「お、資料室ってここか…」
「そう。扉が古くなってるから気をつけてね」
資料室へ着き、扉を開けて狭い部屋へと入っていく。
扉が古くなっているのは知っていたが、
いつもの調子でバタンと音がするくらいに閉めてしまう。
「っちょっと!もう少し優しく閉めないと壊れるわよ」
「悪ぃ。それよりこの資料はこっちでいいのか?」
「うん。ありがとう。そこに積んでおいて」
そして資料を整理し終わり、扉を開け帰ろうとするがー
…??
ガチャガチャ……!!!!
「…あれっ!?開かないっ…!!」
「おい、どうなっちまったんだ!?」
「ちょっとー!!誰かー!!!」
暗く狭い部屋に閉じ込められてしまい、シズネが叫ぶものの、
ここは普段から人通りの少ない別館。ここへ用のある人はまずいない。
命じた綱手自身も、あの大量の資料だから
きっと時間がかかっていると思っているに違いない。
「とりあえず、お前落ち着けって」
「落ち着いてられないわよ!!ここ窓もないし、薄暗いし…
そもそも、あれほど注意したのにゲンマが扉を強くー」
「ってオレのせいなのか!?悪かったって!」
「もう…あ、そうだ!力ずくで…っ」
「おい、そんな事したら余計に…」
ゲンマが忠告したが、時すでに遅し。
強く叩いた事により、さらに扉がズレたまま固定されてしまい
少しも動かなくなってしまった。
「…あれ!??」
「だから言っただろ」
「…ごめん、なさい」
結局どっちが悪いとか悪くないとかの前に
まさに立ち往生の状態になってしまった。
資料室は窓がなく、薄暗い。その上、湿気と隙間風で室温も低く
次第に体が冷えてくる。時折、寒さで肩を震わすシズネを見て、
ゲンマはそっと近づくと横に腰掛ける。
「ちょっと何?」
「何?ってなぁ…しばらくしたら五代目が気づくだろ。
それまではこうして近くにいるのが一番なんだよ。…寒いんだろ?」
「え…う、うん」
「震えてる。ほら手貸せって」
そう言いシズネの手を掴むと、自分の手で包み込んだ。
何度も何度も握ったり、擦ったりして暖めてくれる姿を見て、
自然とシズネの心はゲンマに引き寄せられる。
「ん?どうした、こっち見て…」
「優しいなぁって」
「お、オレはただ、お前が寒そうにしてるからで…//」
「ありがとう」
こっちを見て笑顔になるシズネを目の前にして、
ゲンマは気持ちを抑制することができなかった。
口にくわえていた千本を外し近づくと、その口元に口づけをする。
目を見開き驚くシズネも、そのまま抱きつき、それに応える。
別に不意なアクシデントから生まれたものではなかった。
木ノ葉に帰ってきて何かと一緒にいる機会が多く、
同じ班員になることもあり、自然に惹かれていっていた。
お互いがお互いを好きになって来ている時に
偶然このアクシデントが起こったというだけのことだった。
「…シズネ、好きだ」
「…うん、私も//」
言葉でお互いの気持ちを再び感じ、もう一度キスをする2人。
部屋に閉じ込められてしまうという最悪な状況も幸せに思える。
そしてー
「このままじゃダメよね。早く綱手様のところに戻らなきゃ」
「だな」
早く脱出しようと思った2人は
どうやって脱出するかを考えていると、ふとゲンマが呟く。
「…なぁ思ったんだけど」
「ん?」
「…オレたちって忍じゃなかったか?」
「そうだけど……っ!!!」
術で閉じ込められてわけでもないので、
忍の2人にとって閉じ込められた部屋から出るくらい容易いことだ。
それに気づくと、顔を見合し、声を上げて笑ってしまった。
「っくくく…オレたち何やってんだかな」
「ふふふっホントね。…じゃあそろそろ戻る?」
「…いや、せっかく2人きりなんだし、もう少しここにいねェか」
そう尋ねるゲンマだが、その手は既にシズネを引き寄せ抱き締めている。
寒さで冷たくなった身体がゲンマの体温と重なり次第に暖かくなった。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
久々のネタの再利用。リサイクル品です…エコ作品です(笑)
元ネタは以前テニプリの観月夢か何かでエレベータに
閉じ込められたネタを書いたのですが、それのゲンシズバージョン。
ネタ不足になると、過去に使ってお蔵入りしたネタを使うダメ管理人。
そのうち書き直したいくらい、まとまり悪く載せるのも躊躇いました。
スポンサードリンク