12月24日、クリスマスイブ。
この日は互いに仕事が終わってから会うことになっていた。
プロ棋士の彼、そして碁会所の受付をしている私。
立場も何もかも全然違ったが、“囲碁が好き”という共通点から
次第に仲良くなり、今では長年の恋人に。
毎年クリスマスにはディナーを一緒にしていたが、
今年はディナー時間には間に合わないから…と
よく2人で行くbarで待ち合わせをしていた。
「お待たせ。珍しいわね、先に来てるなんて」
「そうか。…ちょっと話があって」
普段からあまり表情で読めない彼ではあるが
今日は一段と難しい表情で思わず構えてしまう。
「…なんだか怖いわ。真面目な顔して…別れ話?」
「おいおい、縁起でもないこと言うなよ」
そう言って目尻が下がったことを確認すると
晴美は安心してクリスマスイブの雰囲気の中で恋人とお酒を共にした。
ただ、この日はクリスマスイブ。
普段は落ち着いたbarだが、いつもより客も多く
人混みや大人数を嫌う緒方は落ち着かない様子で
ある程度お酒を楽しむと、晴美を連れて店を出た。
「やっぱりクリスマスだと人も多いわね」
「家で飲み直ししないか?」
「ええ…いいわよ」
飲み足りなかったのか、肝心の話ができなかったからか
少し不機嫌そうに歩く緒方に晴美は付き合うことに。
(なんか様子が変ね…)
いつもより口数も少ない緒方のことを気にしつつ部屋に入る。
そして部屋に入った途端ー
まだ、部屋の明かりが完全に点灯していない中、
晴美を抱きしめて唇を奪う。
「…っ…///」
「晴美…愛してる」
アルコールが香る吐息と共に想いを告げられ、
晴美もその想いに応えるようにキスを返す。
「…酔ってるわね」
「…いや、そうでもないよ」
「今日の精次さん…いつもと様子が変よ?」
「晴美がいつになくキレイに見えて…」
「もうっ…相変わらず口が上手いんだから//
私より早く着いてると思ったら先に飲んでたのね!
ほら今、水持ってくるから!」
いつもは割とクールに接する方で
こんな風に酔ったまま会うことがなかった。
様子がおかしい理由が分かった晴美は水の入ったコップを渡す。
「はい」
「…なぁ…結婚しないか?」
あまりに突然のプロポーズ。
思わず水のボトルを落としそうになった。
「もう…酔っ払いが何言ってるのよ…」
「冗談じゃない」
「あ、さては仕事で何かあったのね!
精次さんって仕事で何かあるとすぐそうやって―」
「違う!」
水を一気に飲み干すと、晴美の目を見てそう告げる。
長年の付き合いだ。冗談なのか本気なのか目を見ればわかった。
(本気なんだ…)
晴美は水のボトルを置き、
緒方の目の前に立つとその真剣な目を見つめ返すー
「冗談じゃないなら…もう1回ちゃんと目を見て言って?」
「…ああ。……晴美、結婚しないか?」
「喜んでお受けします」
「……ありがとう」
そして見つめると、2人はもう一度唇を重ねた。
緒方愛用のタバコの香りが2人を包む。
「…精次さん?」
「ん?」
「煙草の数減らしてね」
「え…」
「体に悪いもん!あ、あとお酒もね!」
「おいおい…」
「だって夫婦になるんでしょ?」
「…そうだな//」
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
遥か昔、携帯でヒカ碁サイトを運営していた時に載せていたものです。
超絶マイナーだけど大好きな緒方さんと市河さん★
この話は原作で塔矢名人のお見舞い帰りに、
緒方さんが市河さんが持っていた見舞い品を代わりに
持ってあげているのを見て、これはイイ!と思ったワケです(*´ω`*)
最初はもっと軽い感じだったんですが、意外と不器用で
プロポーズを前に緊張しまくってお酒に頼る緒方さんと冷静な市川さん。
このバランスがたまりません♪同志さま募集中!笑
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