授業を終えるチャイムが鳴り、終礼が終わると、
生徒は各々帰る準備や部活へ行く準備を始める。

「慎也、先行くよ?」

「ちょ、ちょっと待つだーね!」

柳沢は木更津に急かされ、慌てて教科書をカバンに詰め込むが、
つい先程まで授業で使っていた歴史の教科書の間に
1枚の手紙が挟んであるのが目に留まる。

「ん?これ何だーね?」

「何これ?…あぁ…これってさ、
 隣のクラスで騒いでいた“不幸の手紙”ってヤツじゃない?
 って言っても別にこれで不幸になるワケないけどさ」

「ふ、不幸の手紙!?
 …ち、ちなみに…これって貰ったらどうなるだーね!?」

「あれ?慎也、意外と気にしてるんだね…クスクス」

「笑いごとじゃないだーね…」

そう言って、落ち込む柳沢を見て、
木更津は自分が貰うから気にするなと励まし、
手紙を引き抜くと落ち込む柳沢を連れて部活へ向かった。




テニスコートへ行くと、部活は始まっており、
観月のスパルタ特訓の声が響き渡る。
3年生は引退したとはいえ、週に2・3回は裕太や金田など
後輩を見るために顔を出しているのである。

「裕太くん!今のは取れるボールでしたよ!」

「すみません!」

「金田くんもさっきのは何です?
 一昨日のミーティングで言ったことが全く活かされていないですね」

「す、すみません…」

「貴方たちは次期部長候補だというのに、そんな調子では困ります!
 とにかく一旦コートから出て、頭を冷やしてくることですね」

それだけ言い残し、観月は他のメンバーには休憩だと告げて
コートから出て行ってしまった。

最近はずっとこの調子だ。
今年は自分たちが途中敗退したこともあり、
来年こそと今から観月の腕に力が入っているようで…

観月がコートから出て行ったのを確認すると、
金田と裕太は詰め寄り愚痴をこぼし合う。

そこに先輩陣、柳沢・木更津・赤澤までが混じり2人に加勢した。

「クスクス…今日はいつもに増して怒ってるね」

「笑いごとじゃないっスよ。何か最近毎日のように
 次期部長候補がどうとか言って特訓させられるんです…」

「相変わらずだな。まだ部長は俺なのに観月の方が威厳あるし…」

「赤澤部長、留年してくださいよ!」

「っお前らなぁ…」

「アイツ絶対俺たちのこと手駒としか思ってないだーね」

その発言に、木更津は何か思いついた様子でニヤリと笑うと、
先ほど柳沢から奪ったあの“手紙”をチラつかせ見せてみる。

「…じゃあさ、これで観月を試してみない?」

「淳…そ、それってさっきのー」

「何ですかそれ?」

「不幸の手紙って知ってる?最近学校で流行ってるみたいだよ」

「あぁ俺のクラスでも騒いでたな。確か読んだ人が7日以内に
 誰かに同じ文面を書いて回さないと不幸になるとかって」

「まさか木更津先輩…それをー」

「そう、金田は物分かりがいいね。これを観月に渡してさ、
 受け取った観月が、もし俺たちの誰かに渡してきたら、
 俺たちは不幸になってもいい存在って思っていることが分かるよね」

「…観月ならやりかねないだーね」

「そこが気になるところ。じゃあこれを…金田、渡してきて?」

「お、俺がですか!?」

「金田なら大丈夫。俺たちだと怪しまれるし、
 観月には置いてあったって渡すだけでいいから…ね」

「は、はい!頑張ります!」

こうして木更津監修のもと、部活の合間に
『観月は部員のことを大切に思っているの?作戦』の検証が始まった。




そして、検証開始から3分経過した頃ー
観月は戻ってくると、タイミング良く
金田がスタンバイをしていた部室へと入って行く。

「…おや金田くん、もう練習は再開しましたよ?」

「はい、すぐ行きます!……あ、あの観月さん!
 これさっきここに置いてあったんですが…」

「…?…ボク宛ですね。ありがとうございます。
 確認してから行くので、ひとまず先に練習を始めてください」

そう言い金田から手紙を受け取ると、観月はさっそく中を開く。


一方、テニスコートではー
金田が部室から出てきて小さくOKサインを出したのを確認すると
それぞれ練習しつつも、観月が出てくるのを待ち続ける。


そしてー


観月が部室から出てくると、
まっすぐコートに向かって歩いてくる。その右手には封筒が。

各々自分に回されないか不安を抱きつつ
観月が近づいてくるにつれ、部員の鼓動が高鳴る。

選択肢は2つ。部員の誰かに渡すか、
それとも一旦手紙のことは無視して部活を指揮するか。

部員は自分には回ってきませんようにと
目を合わせずひたすらボールを打ち合った。

そんな観月の足元は、迷うことなくコートの中心で
赤澤とラリーをしている裕太の元へと向かった。

「裕太くん、ちょっと」

「え、俺っスか!?」

(観月さん…俺、観月さんのこと信じていたのに…)

裕太は観月が書いて渡す相手が自分だったと知り、驚きと戸惑いで
目を見開く。確かに先ほどは練習でミスが目立ったものの、
裕太は部員の中でもかなり観月に慕っていた方だったからだ。

「あのこれをー」

そんな裕太を気にする様子もなく観月は話を続ける。
その手には“不二くんへ”と間違いなく観月が書いた筆跡が。

部員の視線は一気に裕太へと集まる。
そして誰もが裕太に不幸の手紙が渡されたのだと思った瞬間ー
観月の口から思いがけない言葉が発せられる。

「ーこれを、お兄さんに渡して欲しいんです」

「!?……え……あ、兄貴に!?」

「そうです。不二くんに間違いなく渡してくださいね」

そう言うと、観月は鼻歌を歌いながらコート整備を始めた。
傍らから見ていた部員の表情も一気に明るくなる。

裕太も少し複雑な思いではあったが、観月の不二周助に対する因縁は
今に始まったことではないので、自分に渡されたわけじゃないと分かり
安堵し、明るい表情に戻った。

「安心しただーね」

「はい!あまり大きい声では喜べませんが良かったです」

「俺たちのこと一応大切に思ってくれているみたいだしね」

こうして無事、“不幸の手紙”事件は終わった。





しかし数日後ー
観月の元に1通の手紙が届いた。差出人は不二周助。

中を開けてみると、B4の便箋にたった一言。


『暇そうだね…』


さらに不二周助が嫌いになった観月でした。



ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
CP小説ばかり載せていましたが、テニプリではルドルフを中心に
日常話も書いていまして、こちらの作品が初めて書いた日常話でした★
テニプリでは完全なるルドっ子贔屓の私なんですが、学生時代の
アレコレを思い出すと全部ルドルフに結びつける癖がありますね(笑)
ジェネレーションギャップならすみません(*ノωノ)
私が小学生の頃だったかな?後のチェーンメールと同じくらい流行った
『不幸の手紙』。そんな存在すっかり忘れてたんですが、
これを書いたきっかけが実写版ちびまる子ちゃんで『不幸の手紙』の話が
あって懐かしいなぁって思って思い出したんです。ちなみにドラマでは
卑怯の代名詞でもある藤木くんがまるちゃんと丸尾くんと誰かに送って、
みんなに批判されてました(笑)
とはいえ、観月って『不幸の手紙』もらっても相手しなさそうですよね。
もしかしたら不二周助に嫌がらせをしたいだけで便乗したのかも(*^^*)
ルドルフ日常話はまだストックがあるので、追い追いUPしていきます♪
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