ボクはずっと付き合うなら自分と同じ趣味や価値観を持っていて、
遺伝子学や紅茶について語り合える人が良いって思っていました。
それに、きっとそういう人と出会うだろうって思っていたんです。
ですが目の前の彼女といったらー
「ねぇ観月さん!これ見て!今月の占い。
観月さんの星座が1位で、私が2位、で2人のラッキースポットが
観月さんが観覧車で私がお化け屋敷だって!
これって遊園地に行けって言ってるようなもんでしょ?
ねぇねぇ今日これから暇だし行きませんか?」
「またそんな雑誌を見て…。たまにはこういった経済学とか
化学の本とかを読んではどうです?」
「だって難しいんだもん。それにそういう話は
観月さんからいっつも聞かされてるからいいんですー。
ねぇ遊園地行きましょーよー」
「……はいはい。どうせ嫌だと言っても
連れて行かれるんでしょうし、行きますよ」
「やったー!」
小坂田朋香、彼女が今ボクが付き合っている人です。
ボク自身、驚きましたよ。
自分が想像していた恋人像とは真逆の人物なのでね。
彼女は経済学やら遺伝子学に一切興味を持たない人ですが、
ボクの話はちゃんと聞いてくれます。そこが気に入ったのでしょうか。
気が付けばボクも彼女を好きになっていたのです。
まぁ付き合うまでの話は置いておいて、
ボクは彼女のこの突拍子もない行動に
日々楽しませてもらっているのかも知れませんね。
今日もまた彼女の思いつきで遊園地まで来てしまいました。
「観月さん、さっそくお化け屋敷に行きましょ♪」
「ええ、いいですよ」
もう何を言っても無駄だと分かり、抵抗は止めて、
ぐいぐいと引っ張って進む朋香について行く。
中は普通のお化け屋敷より少し演出が凝ってあり、
観月はその予想外の演出に関心していた。しかしその横ではー
「…うう……何か身震いが…」
「怖いんですか?」
「怖くないの?」
「当たり前です。あ、ほら朋香さんの右にー」
「%&$#ッッ!!!」
声にならない声で叫び観月に抱きつく。
「あ、あっちにも」
「ぎゃーーーっ!!」
それ以上言わないでとばかりに目を瞑り
観月の腕に抱きついたままの朋香。
それを見て、怖いなら最初から入らなければと言いつつも、
怖がっている朋香を愛おしいとさえ思ってしまうのだった。
「……ほら出口ですよ」
「うぅ……」
「少し休憩にしましょう」
「……はい」
ジェットコースターではなく、お化け屋敷で
怖すぎて酔ってしまった朋香を観月が支えて出てくる。
ベンチで休ませようとベンチに行くも
家族連れやカップルが多く、ベンチの空き場所がなかった。
「仕方ないですね、観覧車で休憩にしましょうか」
「はい…」
「大丈夫ですか?」
「え……な、何とか…」
無事、観覧車に乗ることができたので、暫し休憩をとる2人。
ゆっくりキレイな景色を見ている内に、朋香の顔色も良くなってきた。
「すみません…」
「やれやれ…貴女はそうやってすぐに無茶をする。
でも顔色もマシになってきて良かったですよ」
そう言うと観月は朋香をそっと抱きしめた。
そして観覧車も中盤に差し掛かった頃、ようやくいつもの朋香に戻る。
「…もぅ…折角ラッキースポットだから来たのに散々だったなぁ…」
「…そうですか?」
「ここのお化け屋敷、不意打ち多すぎるんだもん」
「…ボクは占い、当たっていると思いますよ」
「え?」
「ほら、こうして貴女とここにいるんですから。
ボクは朋香さん、貴女と同じ空間にいるだけで幸せです」
「観月さん…//」
なんて柄にもなく素直な気持ちが言えるのは、
やはり彼女が彼女だからなんですかね。
理想の人だとか、好きなタイプだとか、散々言ってきましたが、
ボクは今、目の前にいる、こんな彼女が大好きです。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
観月の語りメインの観月×朋ちゃんでした。
朋ちゃんはお化け屋敷とか遊園地好きそうですよね。
だけどいざお化け屋敷入ったら叫びまくるような気がします。
で、観月は最初から興味はないけど、入ってしまえば、
お化け屋敷の構造とか、そういったものをおもしろいって感じてそう(笑)
趣味は全くが違うけれどフィーリングが合い、互いに刺激される関係。
ウチ観朋はそんな感じで作られています(*´▽`*)
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