今日は桜乃に誘われて、
青学と聖ルドルフの練習試合を見に学校へ。
だけど実は、試合相手が“聖ルドルフ”って聞いた時、
誘われなくても行こうと思っていたのよね。
その理由はもちろん…あの人がいるから。
観月はじめさん。私の一方的な一目惚れだけど、
都大会で見てから、ずっと気になっていた人。
もう会うことなんてないのかな…って思っていたら
こんな素敵なチャンスがあるなんて!
桜乃に“どのコート見る?”と聞かれて
今までなら“リョーマ様”って即答していたんだけど…。
「私、ここの試合にする!」
「河村先輩と観月さん?」
「ほ、ほら!いつもお寿司ご馳走になってるし…応援しようと思って!
もちろん桜乃はリョーマ様見るんでしょ?ほら早く行かないとっ」
そう言って、桜乃の後押しをする。
まだ桜乃には好きな人のことは言ってなかった。
見込みなんてないと思っていたし、
そもそも再び出会えるとも思っていなかったから。
コート整備が整い、試合に向けて選手たちも準備を始める。
観月の姿を見つけて頬を赤らめる朋香。
(やっぱりステキだな…)
都大会での観月は正直スマートな戦い方でもなかったし、
どちらかと言えば、冷たい人だと思っていた。
だけど、その所作の美しさや頭の回転、鋭い眼つき…
試合を見ているだけでグイグイ引き込まれてしまったのだ。
そして私は乾先輩という頼りになる情報屋さんに
さり気なく色々聞かせてもらって、ますます興味を持ったものの、
向こうは私のことなんて何にも知らないだろうけどね…。
「Aコート、青学河村VS聖ルドルフ観月…河村サービスプレイ!」
「っしゃーっ!燃えるぜバーニング!」
朋香が見ている中、河村の豪快なサーブから試合が始まる。
(観月さん頑張って!)
青学の制服を着ているため、青学側に立って応援をしているが
心では観月のことも応援している複雑な気分だった。
そして、ゲームは中盤へー
ゲームカウントでは観月が若干優勢ではあったものの
力やスタミナの部分では完全に河村が優勢だった。
パワーテニスのラリーで観月の体力が奪われる中、
河村は得意技の“波動球”で止めを刺す。
「オラオラっバーニングっ!!」
「っあぁ…っ…!!!」
波動球の圧力で観月のラケットが飛ばされた。
さすがに観月の腕では、あの球を打ち返すことは不可能である。
悔しそうな顔をしながらラケットを取りに行ったが…
手からスルリと抜け落ちてしまう。
どうやら手首が痙攣をおこしているみたいだ。
「ごめん!観月くん大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ。ですが…この試合は棄権させてもらいますね。
これ以上やったらテニスができなくなるのは分かっていますから」
そう言って審判に棄権を申し出ると、
手首を冷やすためにコートの外に出て行ってしまった。
心配になった朋香は急いで観月の後を追う。
朋香が追いかけていくと、観月はコートの外にある
水飲み場の水を手首にかけて冷やしていた。
痛みや腫れが中々引かず苛立っているのか、
溜息をつく観月の元へ近づくと、勇気を出して声をかけてみた。
「あの…大丈夫ですか?保健室に湿布があるので良ければ…」
「…貴女はさっきコートにいた…。
ええ…すみませんが案内してもらえますか?」
意外とあっさりOKが出て、朋香は少し驚いた。
都大会の彼はもっとトゲがあって、
他人の言うことなど聞かないイメージだったから。
保健室に着いたものの、保健教諭が見つからず…
朋香は冷蔵庫に入ってあった冷却材を持ってくると手首に当てる。
「先生どこ行ったんだろ…すみません。湿布が見つからなくて…。
ひとまずこれで冷やすとマシかもしれないです」
「ええ十分ですよ。ありがとうございます」
そう言って、少し笑みを見せる観月を見て朋香の心音が高鳴る。
先ほどまでは治療をしないと!という思いだったが
落ち着いてくると目の前に好きな人がいるということや
2人きりという事態を理解し、急に顔が熱くなる。
「何だか暑そうですね…少し温度を下げますか?」
「っい、いえ…///…今日は暑いですね!」
我ながらこの意味の分からない言動に笑ってしまう。
恋する力って恐ろしい。こんなにも胸がいっぱいで苦しくなる。
気持ちが抑えきれず爆発しそう。
観月と目が合い、更に赤くなる朋香を見て
口元を緩めた観月が近づいてきたかと思うと耳元で囁く。
「ボクのこと、好きなんですか?」
「え…あ…////な、何でバレてるーー!??」
「んふっ…ボクを誰だと思っているんですか。
貴女の顔を見ればそのくらい分かりますよ…朋香さん」
「な、何で名前…」
「おやおや、名前以外にももっと色々知ってますよ」
まるで心を見透かされているかのように観月に覗き込まれ
恥ずかしさから言葉を失う。
疑問符を並べて考え込む朋香に今度は観月から疑問符を投げかける。
「…言っておきますが、ボクはお節介は嫌いなんです。
だけどこうして手当てをしてもらいました。何故だと思います?」
「何故って…」
キョトンとする朋香に再び近づくと、耳元で囁く。
「ボクも同じ気持ちだからです」
「……うそ…」
「嘘じゃないですよ。貴女はボクが何も知らないと
思っているでしょうけど、ボクは都大会で人一倍大きな声で
応援をしていた貴女を忘れるハズがありません」
「だ、だって…私ー」
目を泳がせ、突然の告白に驚いている朋香。
その無防備な口元を一瞬で観月が奪う。
「……///」
「…これで信じましたか?」
「………はい//」
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
いつ書いたのか思い出せないくらい古い観月×朋香。
めちゃくちゃ強引なストーリー展開で気に入っていないですが
せっかくなので(?)こちらも移行してきました( ;∀;)
観朋は完全に好きなキャラ同士でCPにしちゃったんですが
後に学プリをすると、観月ちゃんは朋ちゃんみたいな
元気で明るい子がお似合いじゃないかなぁなんて…
あくまでも後付けですが(*ノωノ)拙い文章で失礼しました。。
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