この日の小坂田家は、いつも以上に朝から賑やかだった。
「ねぇねぇまだー?」
「まだー?」
「もう…まだお昼前よ。赤也お兄ちゃんは夕方に来るのよ」
フルタイムで働く母親に代わり、
双子の弟の面倒を見ることが多い朋香だが
最近は、彼氏である切原赤也が度々朋香の家に来て、
一緒に弟たちの面倒を見てくれるようになっていた。
おかげで弟たちもすっかり懐き、
今では朋香以上に会うのを楽しみにしているのだ。
夕方になり、インターホンが鳴ると同時に
切原が来たと察した弟たちはすぐに玄関へ行きドアを開ける。
「わーい♪赤也兄ちゃんだー!」
「これで遊ぼー!」
「おぅ久しぶり!また少し大きくなったんじゃないか!」
飛びつく2人を抱きかかえて中に入ると
朋香がちょうど玄関で双子が散らかした靴を片付けていた。
「もう2人ともさっそく甘えちゃって…」
家に入ると弟たちは喜びから部屋中を走り回っている。
その様子に溜息をつきながら、切原の荷物を預かる。
「ごめんね、部活終わりで疲れているところに…」
「朋ちゃんこそ疲れてそうだね」
「そんなことない!ただ…あの子たちに先を越されちゃったな。
私も久しぶりに会えて嬉しいのに…」
そう言って、ちょっと拗ねてみせる朋香を見て
切原は耳元で“久しぶり”と言うと、その場で抱きしめた。
「機嫌治った?妬いてくれるなんて嬉しいぜ」
「私そんな子どもじゃないわよー」
「へいへい。まぁどっちかっつーと俺がしたかっただけかもね」
そんなことを言いながらリビングへと向かう。
そして朋香は弟たちを切原に任せて、夕飯の準備を始めた。
(まだまだ先のことだけど…結婚ってこんな感じなのかな?)
そんなことを思いながら料理の手を進めるが、
時折、弟たちと楽しそうに遊んでいる切原を見ては笑顔になるのだった。
そして、ご飯ができあがったタイミングで
呼ばずとして、お腹を空かせた3人が自然とテーブルへ集まってくる。
「はい!今夜は栄養満点の夏野菜カレーよ」
「おおー!すっげぇ美味しそうじゃん」
「「いただきまーす」」
「んーうまい!」
「姉ちんおいしー」
美味しそうに頬張る弟たちと彼氏を見て
朋香は幸せそうな表情でその様子を眺める。
「なぁ…け、結婚したらこんな感じかな…//」
「それ…私もさっき同じこと考えてた//」
ちょっと照れた様子でそう言い、お互いが頬を赤らめる。
そして夕飯を食べ終わり、弟たちをお風呂に入れ終わると
ようやく2人の時間になれた。
食器洗いをしている朋香の元へ赤也がやってくると
後ろからギュッと抱きしめる。
「お待たせ」
「赤也先輩…//今日も本当にありがとう。あの子たち大人しく寝た?」
「遊び疲れていたから今日はすんなり寝てくれたよ。
それより最近デートもなかなかできてなくてごめんな…」
「そんな謝らないで…これだって楽しいデートだし♪
それより久々に会えたのに子守させてごめんね!」
「楽しいから全然平気!それに…ここに来ると
未来のお嫁さんみたいな朋ちゃんが拝めるしね!」
そう言って洗い物をする朋香の腕をそっと掴むと
自分の方へ引き寄せ、そのままキスをした。
「…//」
「さて、早く終わらせて俺たちの時間を楽しむか!」
「はーい♪」
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
初の切原×朋香でした!これも何となく学プリの影響だったはず。
赤也はなんとなく子どもから好かれそうだなぁって思って
書いてみたものの、なんか高校生設定の方が良さげな内容に。
一緒に遊ぶだけじゃなく、ご飯食べてお風呂入れて、寝かしつけまで…
さすがに中学生でここまで弟の面倒見れたら神だと思う←
確か旧サイトで載せていた時は最初に補足で高校生設定とか
書いていた気がしますが省いちゃいました(*ノωノ)
ちなみに赤也はなんとなく敬語とか使わせなさそうなイメージなので
朋ちゃんは赤也先輩と呼んでるものの、基本タメ口にしています。
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