◆第5話/決意の時◆


デイダラさんと別れてから色んなことが起こった。
アスマ先生の敵討ちに行って、無事みんなで仇をとってきた。

恩師を亡くしたと同時に恋人も失くし、
もっと落ち込むかと思ったが、慌ただしく巡る日々によって、
気持ちはだいぶ前向きになってきていたー

つもりだった。

実際は、そう思っている方が楽だったから
自らもう大丈夫と言い聞かせていただけだった。

なので、任務から帰ってきて普通の日常に戻ると
再びデイダラのことばかり考えるようになってしまっていた。

「…いの、大丈夫?」

「あ…うん…大丈夫」

サクラは私がアスマ先生を失った悲しみを引きずっていると思って、
こうして頻繁に様子を見に来てくれる。

ダメだな、みんなに心配かけた挙句、
まだあの人のことを引きずっているなんて…。


正直、別れたら気持ちが落ち着くと思っていた。
一時の気の迷いだって、そう思えると思った。

だけど気持ちはまだまだ大きく、心が痛い。


会いたいのに、会えないなんて…。


そんな日々を過ごす中ー

ある日、いつものように窓から外を眺めていたら
1羽の鳥ーいや、小さな鳥型粘土が飛んできた。


デイダラさんのだ!

いのは、すぐに窓を開けて中に入れる。
デイダラの特殊なチャクラにより作られた粘土の鳥は
咥えていたメモを離すと、すぐに元来た方向へ飛んで行った。

慌ててメモを広げてみると、そこにはー


“いのにオイラはもったいない。今までありがとう”


何このメモ?これって何だか…最期の手紙みたいじゃない。


嫌な予感が頭を過ぎる。


いのは、メモを握り締めると、
そのまま走って、鳥が飛んで行った方向へ追って行く。


デイダラさん…!


あんなに忘れようと思ったのに、
こんなメモ1つで走ってきてしまうなんて…。

敵の罠かも知れない。

一瞬そう思ったが、もはや手遅れだった。
私はもうデイダラさん以外何も見えなくなってしまっていたから。





そして、鳥を追って辿り着いた場所ではー
立っていられないほどの戦いが待っていた。

必死に目をこじ開けて状況を見る。


ーそして彼を見つけた。


戦っている相手ってサスケ君!?
何でデイダラさんとサスケ君が…。

しかし、すぐに驚いている場合ではないと我に返る。

傷だらけのデイダラが最後の攻撃をしようとしているが、
どう見ても自分ごと爆発する気でいるのが分かったからだ。


…嫌な予感は当たっていた。


あんなのただの自爆じゃない!!


いのは無我夢中で走ってデイダラの元へと向かう。


どうせ、あの爆発が起こったらここにいる私も巻き込まれる。

それなら私はー


「ダメェェ!!!!」

「……!!!!??」

「…1人で勝手に死なないでっ!!!!」


叫びと共にデイダラに向かって走ってくるいの。

デイダラは、まさかここへ来ると思っていなかったため
いのを見つけると目を見開き驚く。


「…お前なんで…。バカにも程があるだろ、うん」

「バカでもあなたと一緒にいたい!……だから………私ごと爆破して!」

「……っ…!!…」


そんなことオイラには無理だ。
今まで色んな物や人を爆破してきたが、
いくら心中でもいのを爆発なんてさせられない。


“芸術とは永遠の美だ”


(旦那ァ…今になって旦那の言ってたことが分かった気がするぜ…)


デイダラは素早く万が一の時まで使わずにいた禁術を発動させる。
この術を使うと二度とチャクラが練れなくなる最大の防御法だった。


(今のオイラにそんなことは関係ない。それよりも今はー)


印を結ぶと体や手にある口型がメリメリと剥がれ落ちる。
そして自分自身に纏わりついている自爆元を吸い取るように
口の中へ引きずり込んだ。


禁術により元の体に戻ったデイダラは
いのをできるだけ遠くに追いやろうと手を引いて走る。


その瞬間ー


自爆元を飲み込んだ口型が大爆発を遂げた。

強い爆風と共に2人は森の奥へと飛ばされる。


「いの…!」

「デイダラさん!」


デイダラはいのを庇って吹き飛ばされたため、
大怪我を負ったが、這うようにいのの元へとやってくる。

いのはすぐに駆け寄ると、負傷したデイダラを抱えて、
サスケや他の暁にばれないように森を抜けた。

幸い、辺りはまだ爆風の残骸で煙が立ち上がっていたため、
匂いも掻き消され、気付かれずに去ることができた。

恐らく、サスケも他の暁もこの爆発の中で
生き延びるなんてできないと思ってくれるだろう。

先ほどまでいた場所がみるみる焼け野原となっていく。




そして、ある程度離れた場所まで逃げ切ると、応急処置を施す。

「ちょっと痛むけど大丈夫?」

「…へへ…このくらい平気だ。それよりいのは大丈夫か?」

「…うん、私は大丈夫」

生きていてくれた嬉しさで涙を流しながら治療をする。
応急処置が済むと、デイダラはふらつきながら何とか立ち上がると、
いのの手を引き、力いっぱい抱きしめた。

今まで苦しめた分を取り除くように強く強く抱きしめるー

「デイダラさん…」

「今まで悪かったな。これがラストチャンスだと思ってる」

抱きしめた腕を解き、いのの目を見て真剣な眼差しで告げる。

「オイラと一緒に来てくれるか?」


やっと聞けたこの言葉。
一緒に行きたいと、どれほど願っていたか。


もちろん答えは決まっている。
いのも迷いのない目でデイダラを見つめて応えた。


「はい!一緒に行きます!」



ー第5話 ENDー


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