「ただいまー」

任務から戻ってきたいのは慌てて店へと向かう。
今日は店番をする約束だったが、予定より任務が長引いてしまい
慌てて戻ってきたところだった。

店に入ると、そこには母親の姿はなく代わりにー

「よぉ」

「…シカマル…!」

シカマルによると、母は用があると先ほど出かけて行ったとのこと。
いのの帰りを待っていたらしいが、急ぎの用があるため、
通りがかったシカマルに店番を任せて出て行ったそうだ。

こんなことは日常茶飯事なので驚かない。
幼馴染の私たち。小さい頃からずっと一緒に育ってきた。
互いの家を行き来することも、代わりに店番をしてもらうことも、
なんてことないことだったーただ、最近までは。

「任務お疲れ」

「シカマル今日オフだったの?」

「いや、午前中はアカデミーで手伝いがあったんだ。
 で、帰ったら母ちゃんがこれをいのに渡してこいって」

風呂敷に包まれたものを渡す。
開けると、中には可愛い花の刺繍が施されているエプロンが。
さっそくそのエプロンを身につけてみる。

「母ちゃんがいつも花や弁当を届けてくれるからお礼にって」

「ありがとう!店番の時に使うね!」

「ああ、似合ってるぜ」

…!!

その一言にドキッとする。
何気ない会話の中に、いのの気持ちを揺るがすものが。

「…///」

ダメだ。平然を装っていても心は正直で。
次第にこの2人きりの空気さえ絶えられなくなる。

「…っごめん、私今日サクラの家に行くんだった!」

口からでまかせを言い、急いで店から飛び出す。
狭い部屋に2人きり。息ができない。
2人きりを意識しだした途端、真っ赤になる頬。

ー私はただの幼馴染だったシカマルを好きになっていたのだ。

自覚したのは最近。以前は恋愛対象として見たことなんてなかった。
小さい頃から腐れ縁で、同じ任務班の1人。ただの友達だったのに。

最近じゃ意識過剰で、まともに顔さえ見られない。
だけどシカマルときたら…何にも気付いていないのか、ホント鈍感。

こんな気持ちじゃ身が持たない。
いつシカマルがやってくるか分からないから家でも気が抜けない始末。

そんないのの気持ちを知らずに、
シカマルは当たり前のように家へとやってくる。
前々からずっと家族ぐるみで交流があったので、今さら何も言えない。




そして、2・3日経ったある日ー
今日もまたシカマルが母の手伝いで店へとやってきた。

この日も、用事を済ませ後は当たり前のように家に上がる。
今日はよりによって部屋に2人きり。いのは部屋にいるのが辛いので、
食卓で心を落ち着かせようとお茶を飲む。

そこへー

「いの…お前怪我してっぞ」

「ええっ!?」

シカマルに言われ、見てみると足首に何かで切ったような傷痕が。
今日の任務でそういや怪我してたような…。

たいした怪我じゃなかったので放置していたが、
シカマルはいのの前にしゃがみ込み、持っていた包帯で巻いていく。

「切り傷は細菌が入りやすいからな」

「…っ////」

その光景にいのは耐えられなくなり、いのは感情をぶつける。

「もうっ止めて!」

「いの…!?」

「私のことは放っておいて」

いのは部屋へと走っていくと、勢いよく扉を閉める。

(もう…限界)

シカマルの態度に期待しそうになり、気持ちが破裂しそうだった。
好きな相手に触られたり、
必要以上に親切にされると勘違いだって生まれてしまう。


「シカマルのバカ…」

小さい声で呟く。
いのは赤くなった頬を冷まそうと窓を開ける。

そこへー

「いの、入るぞ」

ノックと同時にシカマルが部屋へ入ってくる。

「ちょ…ちょっと私入っていいなんて一言も」

「いいから聞けよ。オレ…何したのか知らねぇけど、
 とりあえず気に障ったなら謝る」

何も分からない様子で、ただ何かしたのかも…と謝るシカマル。
その態度にいのはムッとすると想いを半ば怒りながら打ち明けた。

「シカマル、鈍い感って書いてなんて読むか知ってる?」

「…あぁ?ドンカンくらいオレだって読めるぜ」

「っ違う!鈍い感って書いてシカマルって読むのよー!!」

いのの剣幕に呆然とするシカマル。
いのはそんなシカマルを見てさらに続ける。

「シカマルが鈍感ってこと。私アンタのこと好きなのよ!!
 アンタは友達と思っていても私は好きなの。
 なのにあんな優しくされたら勘違いしちゃうでしょー!!」

どさくさに紛れての告白。
2人の間にしばらく沈黙があったが、シカマルが先に沈黙を破った。

「…勘違いじゃないって言ったら?」

「…っどういうことよ!?」

「オレはお前のことアカデミーの頃から好きだったぜ。
 だけどお前はずっとサスケに夢中でオレのことなんて見てなかった。
 だからオレなりにサスケにはできないことでお前の気を引こうとした。
 幼馴染みという特権を使ってな」

そう言ってエプロンを指差す。

「そんなの…知らなかった」

「…へへっオレだって知るかよ。
 まさかいのが…ったく女ってのはめんどくせーなぁ」

「うるさいわねー//」

「じゃあオレと付き合ってくれるか?」

「…うん!喜んで」

こうしていのの想いは報われた。
近くにいたのに互いに気付かなかった想いが繋がった。

「ねぇ…ところでこのエプロンどこで買ったの?」

「言わねぇよ//」

「シカマルが女物のエプロンを買う姿見たかったなぁー」

「茶化すなら返せよ」

「だーめ!だけど嬉しいからもう少しだけ手元に置いていていい?
 使うのもったいなくて」

そう言って嬉しそうに笑顔を向けるいの。
片思いだった頃は恥ずかしくて不器用だった表情も自然と笑顔になった。



ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これもネタのリサイクルです。元ネタは携帯サイト時に
テニプリの手塚ドリームとして載せていたもののリサイクル(笑)
ネタのスランプに堕ちると、ネタのエコ活動に入ります(*ノωノ)
いのとシカマルの純愛話。たまにはこんな甘々な話もいいかな…
幼馴染みで距離が近すぎて動揺するいのちゃんは書いていて
とても楽しかったです。あと鈍感なシカマルも←
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