大人になるとできることが多くなる。
煙草にお酒、ギャンブル…大人の嗜好物、大人の楽しみ。
だけど大人になるにつれて、できなくなることもある。
その1つが…褒められること。
褒められなくなってもう何年だろう…。
思わず計算しそうになって止める。ばかばかしい。
もう30前の立派な大人なのに、
未だに誰かから褒められたい、なんて思ってるみたいで。
紅はそんな虚しいことを考えるのはやめて、
早朝からの任務に頭を切り替えた。
軽く朝食を取りながら天気予報に目をやる。
『今日は真夏日となります。
気温も各国この通り、例年以上の暑さとなります。
お出かけの際は熱中症等に注意し、水分補給を忘れずに行って下さい』
テレビの向こう側で呑気にそう話す女性を
妬ましく思いつつ、任務への準備を始めた。
よりによって、今日は山での任務…か。
外を見ただけでわかる。まだ昼でもないのに、この日差し。
家から一歩外へ出ると日差しが強く、自然と目が細まる。
長い髪が自分でも邪魔に思えてきたので、髪を束ねて行くことにした。
任務受付所に向かう前に上忍待機所へ向かう。
上忍待機所では先にアスマが来ており、
いつものように煙草をふかし椅子に座っていた。
「おはよう」
「おはよう。早いわね」
「まぁな…」
「今日はまたDランク?」
「ああ。お前のところもだろ。
ったくカカシ班くらいだぜ、いきなりAランク任務をするなんてな」
「あれは仕方ないじゃない。
おかげでみんなAランクやりたいってウルサイのよ」
「ハハ…ま、その点うちの班はいいぞ。
なんせやる気ゼロに食い気のみのヤツがいるからな」
なんて他愛もない話をしていた。
そんな時、アスマが思い出したかのように話す。
「そうだ、それよりお前が髪をくくってるなんて珍しいな」
突然自分の話に持っていかれドキッとする。
「あ…暑いからよ」
「夏日…って言ってたっけな」
「ホント暑いわ」
何だか身体が火照ってきたので、仰ぐ仕草をする。
「…っともうこんな時間か。遅刻したらアイツらうるさいからなぁ~」
「そうね。私もそろそろ準備しないと」
気付けばちょうどいい時間になっていた。
任務へ行こうと立ち上がったアスマ。
忍具をセットしている紅の横をアスマが通る。
その擦れ違いざまにー
「髪、くくってるのも似合ってるじゃないか」
そう言ってアスマは立ち去って行った。
褒められた…私?
似合ってるじゃないか…って。
そう思うと急に胸が弾んだ。
いくつになっても嬉しい気持ち。
紅は再び身体と頬の火照りを感じたがー
「…暑いから?……よね」
そう思うことにして任務へと向かったが、
その熱は冷めることはなかった。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これは以前、拍手御礼SSSとして載せていたものを
SSサイズに伸ばしたリメイク作品です。
こんな感じでお互いが意識しだしていたらいいなぁーなんて。
ちゃんとしたアス紅はいつか書いてみたいなぁーって思っています。
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