「ヒナタ様、おはようございます」
「お、おはよう…ございます…」
緊張した表情で手短に挨拶をすると、ヒナタは急いで任務へと向かう。
(相変わらず…か)
ヒナタを見送り、先ほどの様子を思い返すと深くため息をつく。
オレが宗家の家へ住まわせてもらって、もうじき半年。
ヒアシ様との関係は良好だが、オレとヒナタ様の関係は相変わらずで…。
中忍試験の出来事が相当ショックだったのだろう。
顔を合わせるとロクに目も合わせようとせず、
いつも逃げるように去って行ってしまう。
「ネージー」
「…!!テンテンか」
「何よー。ヒナタじゃないからってそんな肩落とさないでよね」
「っ違!オレはそんなつもりでー」
「はいはい…でもね、見たらわかるのよ。
ネジさ、ヒナタのこと好きになったんでしょ?」
「……」
そうだった。オレとヒナタ様の関係は相変わらずだが、
オレ自身の気持ちは変わった。
まさか、ヒナタ様を好きになるとは…。
まだ子どもの頃、父上にヒナタ様と結婚する…
なんて言って、困らせていたのは覚えているが
あんなに憎んでいたヒナタ様を好きになるとは…。
(分からないものだな…)
しかし、そんなことはどうだって良かった。
今はヒナタ様に好きだとかそんなことを言おうとしているのではない。
ただ…避けられているのが何より辛い。
その日の午後ー
宗家の庭で1人、修行をしているヒナタを見つけた。
オレに気付いていないのか、
それとも気付いていないフリをしているのか、
目線は真っ直ぐ修行相手の木に向かっている。
「…ヒナタ様、良ければ相手しましょうか?」
「…ご、ごめんなさい…私…用事が…」
そう言っていつものようにかわされるが、
ネジは咄嗟に去ろうとするヒナタの腕を掴んでしまった。
ー!!
ヒナタは顔を強張らせ困った表情で恐る恐る視線をネジに向ける。
「…ネ、ネジ兄さん…は、離しー」
「離さないです。ヒナタ様、あなたはいつも逃げようとする。
確かにオレは今まであなたに嫌われるようなことばかりしてきました。
特にあの第3の試験は鮮明に覚えているでしょう。
しかしオレはナルトに言われて考え、自分なりに結論を出した。
人は変わることができると…」
「ネジ兄さん…」
「オレはヒナタ様との関係も変えていきたい。
ヒナタ様との関係が幼い頃のようになりたくて努力をした。
だけどあなたはいつも逃げる。手の届かないところへ行ってしまう。
だから今日は本音を言います。…ヒナタ様、あなたが好きです」
「…!!」
突然の告白ー
気持ちを伝える気はなかったネジだが
好きな気持ちに変わりがないことを思うと
ストレートに気持ちを伝えた。
ヒナタはネジが自分や宗家のことを
こんなにも真剣に考えてくれていたことに驚く。
「ネジ兄さん…私は…」
「無理に答えなくていいですよ。困らせたかったのではないですから」
「違うんです。私、意識してたから…//」
恥ずかしそうに下を向く。
そんなヒナタにネジも驚いてしまう。
「ヒナタ様?」
「…ネジ兄さんのこと、意識してた…
だから顔が見れなくて……避けていたんじゃないです//」
「…ヒナタ様…」
「私も、同じ気持ちです」
本当に変わることが出来るとわかった瞬間だった。
口だけではなく、本当に変わることができた。
「ネジ兄さん」
「はい」
「修行、手伝ってもらっても…良い…ですか?」
「…ええ、もちろんです」
まだまだ、戸惑いばかりの2人。
この日をスタートラインとして、ゆっくりと歩み始めた。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ネジヒナやっぱり難しい!久々すぎて口調を忘れたのか、
それとも単にネジもヒナタも無口同士で書きづらかったのか
とにかく中々進みませんでした。
結構強引なネジ兄さん、一歩間違えればさらに嫌われそうです(笑)
スポンサードリンク