◆第3話/愛に溺れる夜◆


「……ん…おはよ…」

いのは目を覚ますと、隣にデイダラがいるのを見て安心した。

デイダラは既に起きており、ベッドに座ったまま
カーテンから少し見える外の景色を眺めていた。

いのはシーツを引っ張ると、胸元を隠し、
デイダラの下ろしている髪にそっと触れるー

「…ん?…あぁ起きたか。…ちゃんと眠れたか?」

「…うん、ありがとう」


デイダラさんと気持ちが通じ合ったあの日。
そのまま彼と出会った山の中の隠れ家へ行き、私は初めて外泊をした。
もちろん任務が入っただとか、家にメモは残してきたけれど。

それからも、こうして度々家を抜けてここへ来る。

自分でも怖かったのかも知れない。
暁のデイダラさんと付き合うということは
里を抜けるに等しいくらいのことだから。

だから私は気持ちだけでなく、
全身全霊をデイダラさんに捧げたかった。


「…後悔、してないのか?」

「うん、私…今すごく幸せ」

「…オイラも幸せだな、うん」

そう言って微笑み合う。そしてもう一度見つめ合うと、
デイダラはシーツの上から再びいのを抱きしめた。

「…デイダラさんは何で私のこと…好きになってくれたの?」

「そりゃあ一目惚れって感じだな、うん」

「一目惚れ!?そんなので?」

「おいおい、そんなのでって言うけどなぁ、
 一目惚れってのはすごいことなんだぞ。
 たった一目見ただけで好きになる、まさに一瞬の美だろ?
 その一瞬にオイラは惚れたんだ。
 だからいのもオイラを好きになってくれて、どれほど嬉しかったか」

「デイダラさん…//」

「おっと悪ぃ。今日はちょっと出かけてくるから、ここでお別れだ」

頬に軽くキスをし、デイダラはいのの頭を撫でた。

「私も一旦戻らないと」

いのもデイダラの後を追うように準備をすると、一旦離れ離れになる。
扉の前でお別れ。ここからはバレないように家へ戻る。

「じゃまた夜にな」

「うん!」

そう言って別れると、いのは家の方向へ走って戻った。


お互い敵だけど踏み入ってはならない関係。
敵のアジトだとか聞き出せばいいものの、ホント何やってるんだろ。

結局、全身全霊を捧げても迷いは変わらなかった。
自分がしていることに対する後ろめたい気持ちから
毎回、帰り道は自己嫌悪に陥ってしまう。


そんな時ー

タイミング悪く、幼馴染のシカマルと遭遇してしまった。


「シカマル…どうしたの?今から任務?」

「ああ、これからアスマ達と任務に就く。ナルトたちがやり合った
 あの“暁”と遭遇するかも知れない危険な任務だ」

「暁…。…き、気をつけてね」

シカマルにバレないように自然を装う。
ーが、やはりシカマルを誤魔化すのは一筋縄ではいかなかった。

「…お前、最近何してる?」

「え…」

「昨日、任務なんて入ってねぇクセに
 お前の母ちゃんが家に来て、いのは任務に行ったって言ってたぞ」

「きゅ、急に任務が入ったのよー。やーねそんな心配することじゃ」

「何かやべぇことしてるんじゃねぇよな」

「…っ違う!そんなことしてないわよ!」

いのは必死に誤魔化してみせるが、
勘の良いシカマルは、そう簡単に騙されてはくれなかった。

「ま、お前が言いたくねぇならいいけど、お前も木ノ葉の忍だ。
 もう二度とサスケのような人を出したくない」

そう呟き去って行ってしまった。
去った後もシカマルの言葉が頭の中で何度も巡り、我に返る。


そうだ。私は木ノ葉の忍なんだ。
いくら好きでも、その相手は自分の里を狙っているかも知れない敵。

冷静に考えてみれば分かること。だけど冷静になれないほど、
心からデイダラを愛してしまった自分がいた。


頭が混乱する。

嫌いになろう、別れよう、止めよう…
そう思い込むようにしても、結局反対の心が現れる。

だけど、シカマルの言うとおりだ。

今度会ったら別れよう。
そう心に決めて、その夜デイダラに会いに行った。



“今度会ったら別れよう”



そう思った。
本気でそう思って会いに行った。



なのにー



「………っ…あ……デイダラさ…んっ……」

「いの……大好きだ…っ……」


今日も身体を許してしまう自分がいたー。


抱かれていることに快楽を覚える私とそれに苦悩する私。


いのの瞳から一筋の涙が流れる。


それでもやっぱりー彼を愛してしまうのだった。



ー第3話 ENDー


スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。