10月31日、ハロウィーンの夜ー
木ノ葉の里でも家の周りをカボチャで装飾したり、
子どもたちが様々な仮装をして遊んだり、
楽しいハロウィーンが繰り広げられていた。
テンゾウは任務に向かう道中、
そんな光景を目にして季節感を満喫していたものの
任務から戻ってくる夜にはハロウィーンのことなど、
すっかり忘れており、疲れた様子で家へと帰る。
…が
扉を開けると、そこは見慣れた景色からかけ離れた
なんとも不思議なハロウィーンナイトの幕開けだった。
…!!
あまり物を置いていないシンプルな部屋だったはずが
赤と黒色でコーディネートされているだけではなく
そこら中に蜘蛛やドクロなど不気味なモノが飾ってある。
(…そっか、今日はハロウィーンだったっけ…)
玄関に置いてあるジャックオーランタンに触れ
今日がハロウィーンであることを思い出した。
そして、この仕掛け人を探そうと中へ進むとー
「おかえりなさいヤ・マ・トくん♪」
「アンコ、これは一体…って…ちょ…何だその格好!?」
真っ赤に染められたベッドの前にいた恋人は
普段の忍び装束ではなく、まるでSMを彷彿させるかのような
怪しげなコスチュームを着て立っていた。
「手錠かベルトどっちがイイ?」
「っ…というか何なのこの雰囲気!?」
何事かと焦るテンゾウを見て、
アンコは怪しい笑みを浮かべると一冊の本を見せた。
「アンタってこういうのが好きなのね」
そう言って差し出したのは“イチャイチャバイオレンス”
はたけカカシの愛読書の一つだ。カカシに薦められ断ったものの、
強引に読むように渡されていたのだった。
「それは…!」
「ハロウィーンだし何か仮装を…なんて思っていたら見つけたのよ。
意外だけど、こういう暴力的なのが好みなのかと思ってね」
「そ、それはカカシ先輩の忘れものだよ。この間ここに来た時にー」
「別に引きやしないわよ?」
「そうじゃなくて…ハァ…ま、仮装としてはいいんだけどね」
正直なところ少しだけ本は読んでいた。
ただ、実際の物語とは主人公像が違うものの
ハロウィーンの仮装と思えば…悪くない。
「まさかキミがハロウィーンに仮装をしてくれるとはね」
「ここのところ任務で疲れていたでしょ、何か気分転換になればってね」
アンコの優しさは素直に嬉しく笑顔になる。
しかし、最初は目で見てハロウィーン気分を楽しんでいたテンゾウだが
次第にアンコの誘いこむようなお色気全開のコスチュームに
耐えられなくなってきたようだ。
「…そろそろ、その過激な仮装はキツイかな…」
「あら、やっぱり似合わない格好なんてするもんじゃないわね」
「いや…そうじゃなくて」
耳元で囁く“刺激的過ぎて理性が保てない”とー。
その言葉を聞き、ニヤリと笑みを浮かべたアンコは
テンゾウをそのままベッドに押し倒し、馬乗りになるのだった。
「ちょ…」
「ふふっじゃあ今日はとことんハロウィーンを楽しむわよ!」
「…悪そうな顔」
「なによー。カカシに感謝することね!
あの本に習って今からイチャイチャするんだから」
「…ったく…」
最初は疲れもあって乗り気ではなかったテンゾウだったが、
過激な衣装を見ていて欲情したせいか、次第に気分も上がり、
アンコの誘いに乗る。
(…ま、いっか。ハロウィーンだし)
先程まではアンコが優勢だったが、
せっかく用意してくれたこの雰囲気を楽しもうと決意すると
今度はテンゾウがニヤリと笑みを浮かべる。
「…あの本さ、そんな単純なSM物語じゃないんだよ」
「ん?…てことは、結局読んでるんじゃない」
「まぁね、だからキミに教えてあげようと思って」
「?」
テンゾウはフッと何かを企んでいるような顔を見せると
素早く木遁の術でアンコの手足をベッドに縛り上げ、
油断していたアンコに馬乗りになり、その様子を得意気に見下ろす。
「…っ…やるじゃない」
「あの物語はSとSの関係で始まるんだよねぇ…
たまにはそんな関係もアリじゃない?」
「…変態」
「よく言うよ。こんな服で誘っておいて」
胸元が大きく開き、身体のラインが強調される
ボディースーツのような生地の服を身にまとい、
同じ素材で作られたミニスカートに網タイツ、
そして黒のロングブーツ。手には鞭まで装備した徹底ぶり。
恐らくアンコのSMイメージで仮装をしたんだろう。
そんなアンコを木遁で縛り上げて満足したテンゾウは
手足を縛られ身動きが取れなくなり、ジタバタ動く
アンコの唇や首筋に何度も何度もキスを落とす。
「っ…あ…んっ…」
「最高のハロウィーンだよ…」
悔しそうに目を逸らすアンコも
久々に2人でゆっくり過ごせる夜を嬉しく思い
テンゾウに応じることにしたようで
普段とは違う大人のハロウィーンを満喫するのだった。
そしてー
幸せそうにベッドで横になる2人。ベッドボードに置いてある
カボチャのランタンに照らされる光がさらにムードを増す。
「愛してるよ」
「んー…私も」
今回はテンゾウの勝利だった。
縛り上げられていた木遁も解かれ、ようやく自由になったアンコ。
余韻に浸りながら、腕枕をしてくれていたテンゾウに抱きつく。
「Sなアンタも好きよ」
「今日はハロウィーンだから特別」
「…疲れてる?」
「…別の意味でね。任務の疲れはアンコのおかげで取れたよ」
「なら良かった。…じゃあここからは私のターンね」
「…え?」
そう言うと、潜影蛇手でテンゾウを縛り上げ、
驚きと呆れで固まるテンゾウの頬をペロリと舐める。
もちろん先ほどはアンコも楽しんでいたが、
思いのままにされたのが悔しかったのだろう。
負けず嫌いの精神に火が付く。
「油断大敵って知らない?」
「…お前ってやつはホント負けず嫌い」
「さぁこれからが楽しいハロウィーンナイトの本番よ」
こうして2人のスリルと愛に溢れたバイオレンスな
ハロウィーンナイトは夜通し繰り返されるのだった。
ーENDー
≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
イチャイチャシリーズをカカシに強引に読まされた挙句、
それをアンコに見つかり、バイオレンスな夜を体感するテンゾウくん。
本当はもっと詳細を入れて激しく書きたかったのですが
あんまりやりすぎるとR指定になってもアレなんで、こんな感じで。
ウチのテンアンは愛し愛され、激しい関係なのです( *´艸`)
勝手なイメージはMr&Mrsスミスかな(殺し合いはしないけど…笑)
ちなみにイチャイチャバイオレンスがSとSで始まる物語かは
勝手な想像で書いているのでフィクションです(*´ω`*)
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