綱手が火影に就いた途端、
任務よりも雑務が多くなったイズモとコテツ。
最初はそのことに文句を言っていた2人だが、
最近イズモの様子がおかしい。

「…ったく、今日もまた書類整理ねぇ」

「まぁいいじゃないか。俺たちが出る任務がないってことは、
 それだけ里が平和な証拠だしな」

「ふーん…なんかヤケに最近ご機嫌だな。
 なんかイイことでもあったのか?」

「い、いや特には…」

コテツにあまり勘繰られないように誤魔化しつつ、
イズモはつい先日の出来事を思い出す。


そう、あれは2週間程前のことだったー


その日も綱手の命で書類仕事の手伝いをした後だった。
頼まれていた大量の書類を抱えて、五代目の部屋にやってきたものの
肝心の綱手の姿がなく、部屋には側近のシズネの姿だけだった。

「あれ…五代目は?」

「あら、イズモ。綱手様なら外の空気を吸ってくるって…」

「入れ違いでしたか…。
 じゃあシズネさん、これ五代目に頼まれていた資料ですが
 整理終わりましたので、よろしくお願いします」

「ありがとう。えーっと…じゃあそこに置いてもらっていい?」

シズネが指差したのは既に書類で埋もれている綱手の机だった。
何とか空きスペースを見つけて、持ってきた書類を置くが、
大量の書類を持っていたため、下が見えておらず、
机の上に剥き出しで置いてあったペーパーナイフに気が付かずー

「…痛っ…」

「どうしたの!?」

「い、いえ…ちょっと手を…」

シズネが見ると、イズモの手の甲からは血が流れていた。
大したことはないと言うイズモだったが、
もちろん医療忍者のシズネは見過ごすことなんてできず
すぐに、その手を取ると手早く止血を行った。

「綱手様にあれほど刃物には蓋をするよう言っていたんですが…」

「いえ、こちらの不注意だったので…すみません」

「はい、止血完了。一応軽く包帯巻いておくわね」

「…ありがとうございます!」

イズモの手がシズネの手で包みこまれるように丁寧に包帯が巻かれる。
すぐ隣にピッタリくっつき治療を施すシズネを見ていると
次第にイズモの鼓動が高まった。

(シズネさんって…なんてキレイな横顔なんだろう…)

「ん?どうかした?」

「えっ…いえ、何にも…//」

思わず横顔に見惚れてしまい黙り込むイズモに
シズネが不思議そうな顔で覗き込む。

その姿に、理性を抑えるようにゴクリと唾を飲み込む。


(ダメだダメだ。落ち着け俺…)


良からぬ思いが過ぎり、心の中で頭を振り、
静かな雰囲気がそうさせているのだ、と必死で話題を作る。


「ご、五代目の机…書類で埋まってますが大丈夫ですかね」

「そうなのよ。綱手様は書類仕事がお嫌いで、
 すぐにこうして逃げ出すので私もお手上げ状態で…
 イズモとコテツが手伝ってくれて本当に助かっているわ」

「いえ、そんな俺たちは…//」

「はい、包帯も固定できたし、これで安心ね」

シズネに手当てをしてもらい、
最後には満面の笑みで見送ってくれたことに
部屋を出てからも笑顔の伝染が止まらない。

本来なら雑務である書類仕事をさせられた上に、
こんな怪我をして、テンションが下がるものだがイズモは違った。

里の入り口に戻り、普段と変わらぬ門番の職務に就くが、
手に巻かれた包帯を見ては、シズネの姿を思い出し顔が緩む。

「あれ…どうしたんだその手?」

「ちょっとさっき切ってしまってな」

「災難だなぁ」

「…そう?これは災難じゃないよ」

そう言って微笑んだ。


この日からイズモが変わった。

今日も重い書類を運ぶように言われて肩を落とすコテツ。
普段なら“これも仕事だ”とか何とか言って渋々2人で運んでいくのに、
今日は“軽いからお前の分もついでに持っていくよ”とー

何かいいことでもあったのか、と気にしつつも
自分の仕事が楽になりコテツは喜び笑顔になる。

そして、その横ではシズネへの想いを胸に、
手の包帯を見て笑顔になるイズモだった。



ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
旧サイトでWEB拍手お礼SSとして載せていたものを
小説版にバージョンアップさせました。
初書きのイズモ→シズネ。イズモの口調がわからない(*ノωノ)
そしてまたまたマイナー。。なんとなく、本当に思い付きですが
アニナルを見てイズモってシズネのこと好きそうだなぁと
そんな妄想により生まれたCP。あくまでも片思いがいいですv
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