草摩本家から少し離れたとある喫茶店で
はとりと繭子はコーヒーを片手に談笑をしていた。

「ーでもよかったの?忙しいのに…」

「構わない。君といるといい息抜きになるからな」

「ハイハイ…どうせ私は息抜きくらいにしか役に立ちませんよー」

「いや、そういう意味で言ったわけじゃ…」

「ふふっ相変わらずだな。はとり君は…」


あの頃を思い出すと私が今こうして、
はとり君と向き合ってるって不思議だな。


あの頃はー


温もりがほしくて、私は紫呉の誘いに乗り付き合うことにした。
悔しいけど紫呉の言ってることは当たっている。

今思えば本当にあの頃の自分は馬鹿で軽率だった。
当時はとにかく、はとり君を忘れたくて…
親友である佳菜を裏切りたくなくて…
辛くて…寂しくて…誰かに支えてほしかった。

ただ、温もりがほしかっただけ。


でも…紫呉は私が期待してたような生易しい男じゃなかった。
付き合い始めたところで何の変化もなく、ただ一緒にいるだけ。

あの1ヶ月の間、キスもしていないし、
抱き合うことすらさせてくれなかった。

だから近くで、はとり君と佳菜を見ていると余計に胸が痛んだ。

恋をして初めて自分の心が憎かった。
2人を見ていると悔しくて…。

なぜ隣にいるのが自分じゃないんだろうって…。
そんなことを考えてしまう自分にも腹が立って…。

だけど…今になって思う。
あの時、相手が紫呉でよかったなぁって…。

あの時もし紫呉と触れ合っていたら、
今こうして、はとり君と向き合うことはなかったなぁって思う。

相手が紫呉なだけに、お礼なんて言うのは絶対にごめんだけど、
この間、佳菜の結婚式の帰りにアヤ君には話したんだ。


だからー


「また…今度はゆっくりご飯でもいかないか」

「え…あぁうん!もちろん、喜んで!」


だからー


もう温もりがほしいからって人と付き合うことなんてしない。
寂しいからとか忘れたいから付き合うなんてこともしない。

今すぐにじゃなくても…
5年後でも10年後でも老後でもいいから…
今、目の前にいる大切な人と一緒に居れることを願う。

今度は私が彼を温められるような存在になりたい。
周りからそれが馬鹿なことだと言われても…。




ーENDー



≪あとがき≫
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
実はその昔フルバオンリーの携帯サイトを運営していたことがあり、
その時に載せていた「はとり×繭子」でした。
CP小説というよりは、繭ちゃん先生のただの語りですが、
イメージは、はとりも密かに想いを寄せているくらいの関係。
繭ちゃんには本当に幸せになってもらいたいものですv
はーさん一押しですが、もうこの際、呉さんでもいいので(笑)
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